稀勢 土俵際残った!3敗死守 千秋楽で豪栄倒して日馬結果待つ

[ 2016年7月24日 05:30 ]

稀勢の里は土俵際に追いつめられながらも最後は突き落としで白鵬を破る

大相撲名古屋場所14日目

(7月23日 愛知県体育館)
 大関・稀勢の里が綱獲りの望みをつないだ。横綱・白鵬との3敗対決は一気に土俵際まで攻め込まれたが、突き落としで逆転勝利。2敗を守った横綱・日馬富士との1差をキープし、同じく3敗の平幕・貴ノ岩とともに優勝の可能性を残した。日本相撲協会審判部は千秋楽に稀勢の里の横綱昇進について話し合うことを決定。稀勢の里が12勝まで伸ばせば、優勝を逃したとしても9月の秋場所に綱獲りは続く可能性があるだけに、千秋楽の豪栄道戦は再び大一番となる。

 諦めない気持ちが結果となった。手付き不十分で仕切り直しとなった2度目の立ち合い。立ち遅れた稀勢の里は後退して俵に足がかかったが、左に回り込み突き落としを放つと、白鵬が土俵に落ちた。負ければ優勝がなくなる一番で最強横綱から得た3場所ぶりの勝利。座布団が舞う中、54本の懸賞を受け取った。

 納得できる内容ではないが、とてつもなく大きな1勝だ。一方的な相撲展開だけに「最後だけですね」と捉えながら、執念かと問われると「ですね」と答えた。そして「結果?うん、よかったです」と前を向いた。

 初優勝が条件とされていた稀勢の里の横綱昇進。その可能性が最後までつながったことで、審判部は千秋楽に話し合いを持つことになった。藤島副部長(元大関・武双山)は改めて「優勝はしてもらいたい。力は持っていると思う」と話した上で、優勝決定戦で敗れた場合については「そのへんは明日(の話し合い)だと思う。いろんな可能性がある」と含みを持たせた。その一方で、豪栄道との千秋楽に敗れれば全てが台無しになる。二所ノ関部長(元大関・若嶋津)は「11勝なら振り出しでしょう」と明言した。

 横綱昇進は直前2場所の成績が評価されるが、千秋楽で12勝目を挙げれば3場所合計38勝となる。平成以降に誕生した9人の横綱の昇進前3場所と比べると、朝青龍、白鵬、日馬富士に並ぶ勝ち星。旭富士、曙、3代目若乃花(36勝)、武蔵丸(34勝)、鶴竜(37勝)は上回る。横綱になっておかしくない安定感と言える。

 「集中してやるだけ。しっかり力を出し切って」。綱獲りの夢を終わらせないため、稀勢の里は心技体の全てを千秋楽の一番にぶつける。

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