ロシアの国ぐるみドーピング リオ五輪全面出場禁止を勧告

[ 2016年7月19日 10:08 ]

 世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームは18日、カナダのトロントで記者会見し、2014年ソチ冬季五輪など11~15年にロシアで開催された主要国際大会で、同国選手の禁止薬物使用が発覚しないように隠蔽したり検体をすり替えたりするなどスポーツ省が主導して国ぐるみの不正が行われていたとする調査報告書を公表した。

 WADAはこれを受け、開幕が迫ったリオデジャネイロ五輪・パラリンピックでロシア選手団の全面的な出場禁止を検討すべきだと、国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)に勧告した。

 IOCのバッハ会長は「関与した個人や団体に最も厳しい処分を科すことも辞さない」との声明を発表。19日に電話による緊急理事会で処分を検討するが、12年ロンドン五輪で金メダル数4位の大国の処遇について難しい判断を迫られる。ロシアのプーチン大統領は18日に声明を出し、報告の客観性を疑問視し「スポーツへの政治介入」に当たるとして反発した。

 調査責任者のマクラーレン氏や報告書によると、不正は13年の世界陸上選手権(モスクワ)や15年の世界水泳選手権(カザニ)など大半の競技で行われた。モスクワの検査所は違反隠蔽のため、陽性反応が出た検体のうち当時のスポーツ省副大臣から「救済」の指示が出た少なくとも312検体を、WADAに「陰性」と虚偽報告した。陸上だけでなく幅広い競技が対象となり、パラリンピック選手も含まれた。

 この手法は外部の人間が検査に関わる国際大会では通用しないため、ソチ五輪では検体をすり替えた。治安維持を担う連邦保安局(FSB)も加担した。

 今回の不正は米メディアが5月にモスクワ検査所の元所長ロトチェンコフ氏の証言を報じ、発覚。ロシアはソチ五輪の参加国・地域でトップとなる金メダル13個、メダル総数33個を獲得。「金」3個だった10年バンクーバー五輪から躍進した。

 組織的なドーピング問題では国際陸連から資格停止処分を受け、リオ五輪の陸上にチームとして参加を禁じられた。個人参加の道は残されているが、ロシアはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴し、21日に裁定が出る予定。(共同)

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