稀勢、綱獲りへ1敗死守 白鵬、日馬2敗で大チャンス

[ 2016年7月19日 05:30 ]

照ノ富士(右)を攻める稀勢の里

大相撲名古屋場所9日目

(7月18日 愛知県体育館)
 稀勢の里の横綱への道が開けてきた。照ノ富士との大関対決は1分20秒を超える長い相撲の末に寄り切り、1敗を守って勝ち越し。横綱・白鵬が勢に、横綱・日馬富士が嘉風に敗れ、ともに2敗目を喫したため、優勝争いのトップは同部屋の小結・高安と2人となった。2敗は嘉風と宝富士を加えた4人。初優勝が横綱昇進の条件となる稀勢の里は最大の敵となる白鵬らに1差をつけ、有利な状況で残り6日間に臨む。

 和製横綱の期待を背負い続けてきた男が昇進の大チャンスを迎えた。1敗を守った勝ち残りの東土俵下。稀勢の里の眼前で白鵬、日馬富士が相次いで敗れた。9日目にして賜杯レースで両横綱の先を行く展開。「集中してやりたいですね」と神妙な面持ちで語った。

 照ノ富士との大関対決は、じっくりと料理した。自らが突っかけた後の2度目の立ち合い。先に左を差し、すぐに右上手を引いた。巨漢の照ノ富士が半身の体勢となったため勝負は長引いたが、消耗戦では負ける気がしなかった。今場所は朝稽古で四股を踏む時間を多めにし「ちゃんと踏ん張れば下半身がバシッと決まってくる」と相撲が長引いても軸がぶれない自信を得ていた。最後は上手を引きつけての力強い寄り。危なげない内容かと聞かれると「そうです」と平然と答えた。

 初優勝を横綱昇進の条件としている審判部も、その可能性が高まってきたと捉えている。2横綱が2敗となったことを受け、二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)は「稀勢の里は頑張ってくれなきゃ」と期待を込めた。さらに、28勝32敗と苦手な琴奨菊、先場所敗れた鶴竜が休場していることもあって「(初優勝の)チャンス」と話した。

 稀勢の里が白鵬を上回って中盤戦以降に首位に立つのは、10日目まで全勝だった今年春場所以来。その場所は11日目に白鵬に敗れ、12日目も土がついて初優勝を逃した。12年夏場所は11日目で2差の単独トップだったが、そこから白鵬らに敗れ、優勝決定戦にすら進めなかった。今場所も白鵬、さらに日馬富士との対戦を残しているだけに気は抜けない。過去の苦い経験を踏まえ「うん、やっていきます」と言葉に力を込めた。はっきりと綱が見えてきたからこそ、残り6日間、勝負にこだわっていく。

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2016年7月19日のニュース