シュワッ!原沢久喜、ウルトラマン作戦 攻め切れ最初の3分間

[ 2016年7月18日 11:15 ]

子供と稽古する原沢久喜

 最初の3分をしのぎ切れ!リオ五輪の柔道男子100キロ超級の原沢久喜(24=日本中央競馬会)が17日、都内の母校・日大の道場で行われた少年柔道教室にゲスト参加した。1カ月を切った五輪本番での最大のテーマは世界選手権7連覇中の打倒テディ・リネール(27=フランス)。原沢の躍進を支えてきた日大の金野潤監督(本紙評論家)が、最強王者攻略への青写真を示した。

 勝負の時は確実に近づいている。しかし子供たちと触れ合う原沢に差し迫った様子は皆無だった。「変に五輪だからというよりも普段通りの方がいいかな。本番でもひょうひょうとしていられれば」。最近は「平常心」をモットーとする24歳。子供たちのサインや写真のお願いも苦にせず尽きるまで応じた。

 もちろん練習ではみっちりとリネール対策に取り組んでいる。今月のスペイン合宿では2度の乱取りを行い、相手の出方をうかがってきた。「スペインから帰って、相手の組み手の特徴を考えて、(リネール得意の)隅返しの防御もやっている」とより具体的な対策に着手している。

 日大の金野監督も愛弟子と最強王者の戦いを細かにシミュレーションしている。勝負の鍵に挙げたのは最初の3分間の攻防だ。「3分まで何も(ポイントが)ない状態でいけば勝てる。指導1でもチャンス。指導2もらうようでは厳しい」と予測を立てた。

 「リネールはしのぐ選手を料理するのは上手。稚拙でも前に出て攻撃しないと」。握りの位置、スピードに変化をつけながら、間合いをつめて前に出続ける。「本人(リネール)も受けが強くないと分かっているから、間合いをつめてくる選手は嫌がる」。序盤で指導を取られなければ、ウルトラマンのようなリネールが焦り、“カラータイマー”がピコピコと点滅し始めるはず。スタミナと馬力のある原沢がそこから勝機を見いだす。これぞ金野監督の青写真だ。

 日本人選手のリネールとの対戦成績は4勝17敗。10年世界選手権で上川が優勢勝ちして以降、王者に屈し続けている。しかし原沢はまだ対戦経験がなく、勝負づけは終わっていない。未知の可能性を五輪本番でぶつければ、番狂わせを起こせるかもしれない。

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2016年7月18日のニュース