宝富士1敗キープ 上位戦すでに消化で優勝候補の一角に名乗り

[ 2016年7月17日 05:30 ]

優勝争い名乗りだ!!嘉風(右)を破り、1敗を守った宝富士

大相撲名古屋場所7日目

(7月16日 愛知県体育館)
 平幕の宝富士が嘉風との1敗対決を制して首位タイをキープした。すでに上位戦を終えており、賜杯レースの不気味な存在になってきた。白鵬、日馬富士の両横綱と、大関・稀勢の里も1敗を守った。カド番の大関・照ノ富士は栃煌山に押し出され、3連敗で4勝3敗。大関・琴奨菊は左膝の負傷などでこの日から休場。小結・高安と平幕の逸ノ城を加えた6人が1敗で首位に並んでいる。
【7日目取組結果】

 謙虚な伏兵がグレードアップして混戦の主役に躍り出た。平幕の宝富士が動きの激しい嘉風に快勝。立ち合いで得意の左を差せなくても、小手投げで相手を横に振ってから左を差す冷静な相撲。最後は右上手も引きつけて慎重に寄り切り、首位タイを守った。

 「左が取れなくても、どう取るかを考えている。前かがみになれば押されない自信はあったので、落ち着いて取れた。相手を(横に)振ることも稽古ではよくやっていて、体に染みている」

 これまで上位戦でなかなか得意の左差しにさせてもらえなかったが、3場所前からイメージトレーニングを導入。就寝前に最悪とうまくいった場合を想定し、どちらの展開でも慌てないようになった。同部屋の横綱・日馬富士も「力はある。その力に気持ちが付いてくるようになった」と精神面の成長に目を見張る。

 それでも宝富士は「優勝なんて全然考えてないです」と控えめ。目標も1横綱2大関を倒し、現実味がある初三賞獲得だ。「上位の力士は、新聞の紹介欄に三賞何回獲得と出ている。でも、自分は空欄。それが寂しい」と切実な表情を見せる。

 しかし、周囲の期待は高まる一方。本来はスロースターターで後半追い込み型だが、6勝1敗のロケットスタート。後半戦は上位が星のつぶし合いに入るだけに、賜杯の可能性も上昇一途だ。

 師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)が「立ち合いから攻めないと。まだまだ力を出せていない」と厳しく注文するのも期待の裏返し。この日の取組後、付け人が用意した3日目の“黒星パンツ”を「イヤ」と交換し、珍しく験を担いだ宝富士。三賞狙いの先に無欲の平幕Vが待っている。

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2016年7月17日のニュース