錦織 選手村滞在へ ホテル希望もリオの治安不安

[ 2016年7月14日 05:30 ]

笑顔で会見する錦織

 リオデジャネイロ五輪に出場する男子テニスの錦織圭(26=日清食品)が13日、東京都内で会見に臨み、大会出場期間中は選手村に滞在する考えを示した。億単位の年収を稼ぐトッププロが選手村を利用するのは異例だが、同市内の治安面の不安を考慮。他競技のトップ選手と交流を図れるなどのメリットも勘案し、最大1万8000人が宿泊できるマンモス村から金メダルを目指す。

 11日に米国の経済誌フォーブスが発表した「世界のセレブ年収ランキング100」。錦織は日本人唯一となる82位に名を連ねた。その年収(今年6月1日までの1年分)は3350万ドル(約35億円)というから、超高級ホテルに何連泊しようと痛くもかゆくもない。それでもあえて選手村に滞在する理由について「本当はホテルに泊まりたいが、安全面(の不安)もある。その意味では村の方が安全だし食事も取れる。仕方ない」と素直に気持ちを吐露した。

 通常のツアーでは試合と練習以外は自由な行動が許されるが、選手村では行動も限定的となる。「自由時間が減る。普段のように行動はできない。面倒なこともあるだろうし、気を使わないといけない大変さがあると思う」と懸念も口にする。

 ただ、一年のほとんどを海外で過ごすだけに、他競技のトップ選手と交流できるのは貴重な機会と捉えている。錦織が熱望していたゴルフの松山英樹(LEXUS)との初対面はかなわないが「他のスポーツの一流選手と触れ合える。そういう機会で得られるものがあると思う」とし、8月5日の開会式についても「出てみたい。雰囲気はあそこでしか味わえない」と希望した。

 日本選手団の中では陸上男子100メートルの桐生祥秀(東洋大)と交流がある。数年前に都内の味の素ナショナルトレセンで一緒にトレーニングした際、伸び悩んでいた桐生に精神面の助言を送って以来、付き合いが続いている。日程的に陸上を観戦することは不可能だが「100メートルが一番盛り上がる。ぜひ9秒台を見たい」とエールを送った。

 五輪は勝ってもツアーポイントが付かないものの「正直寂しいが、モチベーションは違うところにある」と強調。「日本人としていいニュースを届けられるようにしたい」と前日同様、メダルへの意欲を口にした。4大大会やマスターズでは得られない何かを、4年に1度の舞台で手に入れる。

 ▽リオ五輪選手村 大会メイン会場などに近い市西部のバーラ地区の約20万平方メートルの敷地に、31棟計3604部屋で今月24日にオープンする。ベッド数は1万7950床。部屋は2~4ベッドルームで、リビングやバス、トイレを備える。各部屋にはジカ熱対策でエアコンと網戸が備え付けられているが、資金不足のためテレビの設置は見送られた。共用施設として一度に7000人を収容する24時間営業のレストラン、トレーニング施設、郵便局、銀行などがある。9月のパラリンピック後には一般向けに分譲される。

続きを表示

2016年7月14日のニュース