日馬 黒サポーターで黒星“土俵の美”汚し怒られた

[ 2016年7月13日 05:30 ]

隠岐の海(左)に押し出され、初黒星の日馬富士

大相撲名古屋場所 3日目

(7月12日 愛知県体育館)
 横綱・日馬富士が隠岐の海に押し出され、早くも土がついた。しかも右肘に着けた黒色のサポーターが物議を醸し、審判部で注意を受ける踏んだり蹴ったりの1日。横綱・鶴竜も栃煌山に送り倒された。1日に2横綱が金星を配給したのは1999年秋場所以来。綱獲りの大関・稀勢の里と横綱・白鵬は盤石の3連勝。カド番大関の照ノ富士も全勝。一方、大関・琴奨菊は3連敗を喫した。

 踏んだり蹴ったりだ。結びの一番。隠岐の海のいなしに崩され、簡単に押し出された日馬富士に容赦ない座布団のシャワーが浴びせられた。「序盤で負けてはいけない。相手を見すぎた」。肩を落とした横綱には、追い打ちが待っていた。花道を引き揚げると審判部へ直行。右肘に装着した黒サポーターが執行部の怒りを買っていたのだ。

 見ていた八角理事長(元横綱・北勝海)は、思わず顔をしかめた。春日野広報部長(元関脇・栃乃和歌)は「ダメだろ」と一言。審判部に呼び出しを食らった日馬富士は、二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)から「白にしなさい」と諭され、「はい、分かりました」と平身低頭。明確な規定はないが、同審判部長は「土俵の美の問題か」と報道陣から聞かれると「そうです」と答えた。

 昨年5月、右肘の遊離軟骨除去手術を受けた。しかし直後の名古屋場所で痛みが再発し2日目から休場した。不安は残り、続く秋場所も休場するはめになった。

 それ以来、ケアには人一倍気を使ってきた。今年の春場所では、右肘にゲルマニウム配合のテープを使用した。この日の黒のサポーターは場所前から稽古で試していた。それでも初日と2日目は、しばりの緩い白のサポーター。しかし、この日は万全を期して、よりきつく締めることができる黒サポーターに変更。横綱なりの理由があった。

 実は3日目は「続けて負けている」鬼門。先場所、先々場所ともに黒星。「集中しようと思っていたが、気になっていた」と明かした。12年九州場所の横綱昇進後、これで3日目の敗戦は7個目に達する。鬼門突破へ、なんとかしたかった。その気持ちが、かえって傷口を広げてしまった。

 通算27個目の金星配給。序盤での痛い1敗に支度部屋では「あ~あ」と大きくため息をつきショックを隠せなかった。

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2016年7月13日のニュース