アーチェリー「金」参謀緊急招集 シドニー五輪で団体金

[ 2016年7月8日 05:30 ]

願いをしたためた短冊を手にする(左から)パラリンピック競泳女子の一ノ瀬メイ、アーチェリー女子の川中香緒里、男子の古川高晴

 文字通りの「金」参謀だ。ロンドン五輪男子個人銀メダルの古川高晴(31=近大職員)と同女子団体銅メダルの川中香緒里(24=ミキハウス)が7日、母校・近大(大阪府東大阪市)の壮行会に出席。韓国代表としてシドニー五輪団体金メダルを獲得した近大・金清泰コーチ(36=韓国)が日本代表のコーチに緊急招集されたことを明かした。選手の直訴で首脳陣入りしたコーチの力を借り、ロンドン超えのメダルを狙う。

 古川の表情は晴れ晴れとしていた。今季のW杯は低迷したまま終了。男子団体の五輪枠獲りも失敗した。自信を持って五輪を迎えるプランは崩れたが、心強い味方を得ることになった。長年、指導を受け、兄のように慕う近大・金清泰コーチが日本代表のコーチとして緊急招集されたのだ。

 「それが楽しみ。頼りすぎてはいけないけど、金コーチが来てくれることで今までと違う。普段見てもらっている人に来てもらえるのは大きい」

 大学入学から6年間指導を受ける女子の川中も「安心。より力を出したい」と歓迎した。韓国のイケメン36歳はシドニー五輪団体金メダルを獲得した豊富な経験と知識、弓のチューニング技術などで選手をサポート。五輪本番は個人、団体戦のフィールド内で選手にアドバイスを送る予定だ。

 参謀役の入閣は選手の要望で実現した。6月5日の全日本アーチェリー連盟の理事会で古川、川中が代表同行を訴えた。伏線は5月のコロンビアでのW杯で起きた川中の“不戦敗事件”。3回戦からの登場だと首脳陣に伝えられたが、実際は2回戦からで戦わずして敗れた。代表の強化態勢の整備に貢献した日本代表の新海監督だが、失態には「スタッフのミスがあった」と謝罪。この一件と、男女代表4人中3人が近大を拠点にしていることもあって、6月下旬に正式に代表コーチとして金清泰氏が加わった。

 同コーチはロンドン五輪でも救世主の役割をしていた。直前合宿でスポットコーチとして指導。古川の銀、女子団体の銅獲得に一役買った。今回の初めての代表フル同行に「選手がベストパフォーマンスができればいい結果が出る。色は関係なくメダルが獲れたら」と支援を約束。女子の永峰を入れた近大3本の矢がリオの的に突き刺さる。

 ◆金 清泰(きむ・ちょんて)1980年7月6日、ソウル生まれの36歳。小学校4年からアーチェリーを始める。2000年シドニー五輪では男子団体金メダルを獲得。個人は5位。08年に右肩を故障し、近大・山田秀明監督の誘いを受けてコーチとして来日。09年から同大学で指導をする。ミキハウスのコーチも兼ねる。これまでに古川、蟹江、川中のメダリスト3人を輩出。

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