錦織 2年連続棄権…強行出場も左脇腹「痛みひどい」

[ 2016年7月5日 05:30 ]

思うようなテニスができず、タオルで顔を覆う錦織

ウィンブルドン選手権第8日男子シングルス4回戦 錦織1―6、1―5、棄権 錦織

(7月4日 オールイングランド・クラブ)
 男子シングルスの4回戦で、第5シードで世界ランキング6位の錦織圭(26=日清食品)は、マリン・チリッチ(クロアチア)との第2セットの第6ゲーム後に途中棄権した。今大会は左脇腹痛を抱えたまま強行出場していたが、患部は回復しないまま。2年連続の棄権に終わり、8月5日開幕のリオデジャネイロ五輪に不安を残した。また、女子シングルス4回戦では土居美咲(25=ミキハウス)の敗退が決まり、男女シングルスの日本勢は大会から姿を消した。

 氷をパンパンに詰めた袋を2つ持ち、錦織は会見場に現れた。着座すると袋を脇腹に当て、アイシングしながら言葉を発した。「昨日からかなり痛みがあった。前の試合と比べものにならないくらい痛かったので、難しいのは分かっていた。可能性を信じていたが、痛みの度合いがひどかった」。2年連続で無念の棄権。表情には例えようのない悔しさがにじんだ。

 わずか15分で切り上げた練習から異変は明らかだった。第1セットの第1ゲームは、14年全米決勝で敗れたチリッチの4連続エースに一歩も動けず。サービスゲームでも全力でラケットを振り下ろせず、サーブ平均速度は女子トップ選手並みの154キロ。打てず走れずの状態で、マイケル・チャン・コーチらの指示を無視して試合を強行したが、痛み止めを飲んだ直後の第2セットの第6ゲームを落とすと、自ら棄権を申し出た。

 前哨戦のゲリー・ウェバー・オープン(ドイツ・ハレ)で左脇腹を痛めて棄権。大会前にはエキシビションマッチに出場して回復の兆しを見せていたが、痛みは完全には引かなかった。それでも強行出場したのは、4大大会でも最も歴史と権威のあるウィンブルドンの重みを感じていたから。「グランドスラムでなかったら1回戦から出てなかった。ウィンブルドンで頑張りたい気持ちがあった。そのモチベーションだけだった」と偽らざる思いを明かした。

 リオ五輪開幕まで、5日であと1カ月。今後は一度帰国し、23日開幕のロジャーズ杯(カナダ・トロント)から4年に一度の大舞台へ向かう。「とりあえずしっかり休む。テニスもしばらくできないのでしっかり治す。メンタル的にも休まないといけない」。充電期間を置き、得意とするハードコートシーズンで捲土(けんど)重来を図る。

 ≪錦織 4大大会ではたびたび棄権を経験≫錦織は4大大会でたびたび棄権を経験してきた。ウィンブルドンでは4大大会デビューの08年1回戦でジケル(フランス)に6―4、5―7の展開から大会前に腹筋を痛めたことが響いて棄権。15年は前哨戦ゲリー・ウェバー・オープンで痛めた左ふくらはぎが完治せず、ヒラルド(コロンビア)との2回戦直前に棄権した。全米オープンは10年3回戦でモンタニェス(スペイン)に2―6、1―2となったところで左太腿を痛めて決断。11年1回戦はチポーラ(イタリア)に4―6、2―6とされたところで腰痛のため棄権した。

 ▼チリッチ 彼(錦織)にとっては明らかに厳しい状態だった。とても残念。(試合前の練習で)サーブを見て万全の状態でないと気付いた。全力で打てていなかった。年間を通して体調を維持するのは簡単ではない。

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2016年7月5日のニュース