松山 リオ五輪辞退 ジカ熱、治安の懸念消えず「苦渋の決断」

[ 2016年7月5日 05:30 ]

最終ラウンド、18番でラフからショットを放つ松山英樹

 松山英樹(24=LEXUS)が代表入りが確実となっていたリオデジャネイロ五輪に出場しない意向を示した。松山は3日、米オハイオ州アクロンで行われた世界選手権シリーズ「ブリヂストン招待」の最終ラウンド後に代表辞退を表明。ジカ熱や治安への懸念などを理由に挙げた。112年ぶりに五輪正式種目に復帰するゴルフで松山にはメダルの期待がかかっていたが、日本はエース抜きで戦うことになった。

 悩みに悩んで結論を出した。プレー後、五輪出場について問われた松山は「やめます。出ません。ジカ熱の問題も治安の問題もある」とリオ五輪に出場しないことを明言した。同日、マネジメント会社を通じて「不安を抱えながらでは、世界と戦う上でベストなコンディションで臨めないと考え、苦渋の決断ではございますが、辞退を決意した次第です」と改めてコメントを発表した。

 ブラジル国内の衛生状況に対する懸念が大きかった。「虫に刺された時のアレルギー反応が良くなっていない。刺されても、腫れたりもせず、普通に何も問題なくプレーできるのであれば問題ないが、(ブラジルに)行って腫れてプレーができなくなったらもっと良くないと思った」。松山はプロ1年目だった13年9月にブヨに刺され、顔を大きく腫らすなど、かねて虫刺されに対する強いアレルギー反応に悩まされてきた。今年6月の全米オープンでも腕を刺されて患部が大きく腫れ上がり、テーピングしてのプレーを余儀なくされたほどだった。

 ゴルフの五輪代表は11日付の五輪ランキングで決定される。五輪ランクは世界ランクに基づいて決められるため、男女2人ずつが出られる見込みの日本で現在世界ランク17位で日本勢最上位の松山の代表入りは確実視されていた。代表発表約1週間前のタイミングで辞退を表明したことについて「いい選択かは分からないが、時間もないし早めに決断したほうがいい、やめた方がいいのかなと思った」と説明。他の代表候補選手の準備のために、という気遣いもあった。

 五輪はメジャーと同じストロークプレーの個人戦だが出場選手は60人と少なく、各国・地域から最大で4人に限られている。しかも、厳しい日程の中で慣れない南米に足を運ばなければならない。松山は昨年から「本当に世界一を決める大会なのか」と正直に語っていた。また、この日は「これが個人戦でなく、チーム戦だったら違う決断になったかもしれない」とも話した。男子ゴルフは世界ランク1位のジェーソン・デー(オーストラリア)ら、世界のトップランカーが相次いで五輪代表辞退を表明。日本国内の期待は十分に感じていたが、松山もまた、リスクを背負ってプレーするほどには金メダルに魅力を感じられなかった。

 ▽リオデジャネイロ五輪ゴルフ競技代表選考法 五輪出場選手は国際ゴルフ連盟が発表する五輪ランキングにより決定される。五輪ランキングは現行の世界ランキングに基づいて作成され、リオデジャネイロ五輪では開催国枠の1人を含め男女各60人が出場。出場枠は原則として各国2人で、優先的に出場権が与えられる上位15位以内に入れば、各国4人を上限に出場枠が増える。7月11日までのランキングで代表が決まる。

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