錦織「恵みの雨」順延効果!左脇腹痛“超速”回復3回戦進出

[ 2016年7月2日 05:30 ]

ベネトーを下して3回戦進出を決めた錦織(AP)

ウィンブルドン選手権第4日男子シングルス2回戦

(6月30日 英ロンドン・オールイングランド・クラブ)
 恵みの雨を得て歴史をつくった。雨天のため1日順延で行われた男子シングルス2回戦で、第5シードで世界ランキング6位の錦織圭(26=日清食品)は同547位のジュリアン・ベネトー(フランス)を4―6、6―4、6―4、6―2の逆転で下した。27日の1回戦から中2日空いたことで、左脇腹痛は大幅に改善。当初の12番コートから変更となったセンターコートで、戦後の男子シングルスでは日本人初勝利の快挙となった。

 うそ偽りのない、正直な気持ちだった。会見で試合間隔が当初の中1日から2日空いたことの影響を問われた錦織は「あんまり(順延は)経験がなかったが、こんなに雨が降ってくれと(神様に)頼んだことはなかった。それくらい助かりました」と応じた。グロートにストレート勝ちも、プレーに精彩を欠いた1回戦から中2日。どんよりと重苦しい雲が広がるロンドンの空に感謝した。

 ファーストサーブの平均速度が約10キロ上がったように、左脇腹痛の改善は数字にも表れた。第1セットはディフェンスにたける元世界25位に奪われたものの、ブレークされた第10ゲームも「数ポイントが悪かっただけで、落ち込み過ぎなかっ た」と切り替えた。第2セットからはベースライン際にスピンを利かせたショットを集め、相手のテンポを崩した。「一定のリズムになると彼のストロークはうまい。なるべくそれを変えようと思った」。足を使った本来のテニスも取り戻した。

 会見の冒頭で海外メディアから3度連続で左脇腹痛に関する質問が飛ぶと、最後は「さっき大丈夫って言ったよね?」と諭すように答えた。回復を助けたのは昨年からトップ選手に倣って借りている、会場近郊にある一軒家だ。ホテル暮らしが続くツアー中だが、ウィンブルドンの期間中はフェデラーやウィリアムズ姉妹らは家を借り上げ、試合で疲弊した心身を癒やしている。順延となった前日、錦織も午前の練習を終えると一度帰宅。「昼寝したり、ゆっくり過ごしたので特にストレスにもならなかった」と穏やかに過ごしたことが奏功した。

 昨年は左ふくらはぎ痛のため、2回戦直前に棄権。天を味方に付けた今年の錦織は、さらなる快進撃の予感を漂わせている。

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2016年7月2日のニュース