沙保里 日本選手団主将に!夏季五輪女子初!JOCが最終調整

[ 2016年7月1日 05:37 ]

ロンドン五輪で日本選手団の旗手を務め、入場行進する女子レスリングの吉田沙保里

 日本オリンピック委員会(JOC)が、8月のリオ五輪日本選手団の主将に、五輪4連覇に挑むレスリング女子53キロ級の吉田沙保里(33=フリー)を選出する方向で最終調整していることが30日、関係者の話で分かった。女子が夏季五輪で日本選手団の主将を務めるのは初めて。吉田は五輪女子初の4連覇に加えて“主将のジンクス”にも挑むことになる。開会式で日の丸を掲げて行進する旗手は3日に東京都内で開かれる結団式に向けて選考を急いでいる。

 日本選手団の士気を高め、他国の選手団を震え上がらせるのにこれ以上の適任者はいない。選手団の主将は自分の競技ばかりでなく、他競技の応援なども行う役回り。泣く子も黙る“霊長類最強女子”にその白羽の矢が立った。

 吉田は前回のロンドン五輪で旗手を務めた経験がある。当時も主将の打診を受けたものの、「男子を差し置いて受けるわけには」と固辞した経緯がある。ロンドン五輪後には国民栄誉賞を授与され、五輪3連覇を含む世界大会V16も達成。もはやジェンダーを飛び越えた存在となり、主将就任にもためらいはなくなった。

 女子58キロ級の伊調馨(32=ALSOK)とともに、リオでは女子で五輪史上初となる4連覇に挑む。しかし不吉なデータもある。夏季五輪の主将は、92年バルセロナ大会で柔道の古賀稔彦が金メダルを獲得して以降はメダルなし。04年アテネ大会の井上康生、08年北京大会の鈴木桂治ら有力選手が軒並み期待を裏切る結果に終わっている。今回、大会14日目に登場する吉田はそのジンクスを覆せるのかどうか。ただ、4年前には女性旗手は金メダルを獲れないとのジンクスを自ら吹き飛ばしている。

 吉田は昨年12月の全日本選手権後は試合から遠ざかっており、リオ五輪が約8カ月ぶりの実戦の舞台となる。ぶっつけ本番で不安もあるはずの状況で引き受けることになる主将就任。日本選手団にパワーを与えるだけでなく、吉田にとっても大きなモチベーションとなるのは間違いない。

 ◆吉田 沙保里(よしだ・さおり)1982年(昭57)10月5日、三重県生まれの33歳。全日本王者だった父・栄勝さんの指導で3歳で競技を始める。02年にシニアの世界選手権初出場初優勝。以降、世界選手権は昨年のラスベガス(米国)大会まで55キロ級、53キロ級合わせて13連覇。04年アテネ、08年北京、12年ロンドンは55キロ級で五輪3連覇を達成している。12年に国民栄誉賞受賞。「霊長類最強女子」とも呼ばれる。1メートル56。

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