錦織 5年連続初戦突破も…左脇腹痛に不安「約束できない」 

[ 2016年6月29日 05:30 ]

5年連続でウィンブルドン初戦突破した錦織(AP)

ウィンブルドン選手権 第1日 錦織6―4、6―3、7―5グロート

(6月27日 英ロンドン・オールイングランド・クラブ)
 第5シードで世界ランキング6位の錦織圭(26=日清食品)が男子シングルス1回戦で124位のサミュエル・グロート(28=オーストラリア)を下し、5年連続で初戦を突破した。第2セット終了後には左脇腹の治療を受ける場面もあり、今後に不安を残した。錦織は29日に予定される2回戦で世界547位のジュリアン・ベネトー(34=フランス)と対戦する。28日の男子シングルス1回戦では世界114位のダニエル太郎(23=エイブル)が97位のフアン・モナコ(32=アルゼンチン)に敗れた。

 悪夢は繰り返すのか、あるいは杞憂(きゆう)に終わるのか。2セットを連取した錦織はメディカルタイムアウトを取ると、コートに背を向けて横向きに寝転び、左脇腹のマッサージを受けた。ベンチに隠れた表情は読み取れなかったが、会見では慎重な口ぶりで状況を説明した。

 「まだ脇腹の痛みが少しあったので(タイムアウトを)取った。(状態は)まだ明日どうなるか見てみないと分からないので、何とも言えない」

 昨年は前哨戦のゲリー・ウェバー・オープン(ドイツ)で痛めた左ふくらはぎに不安を抱え、ウィンブルドンは2回戦直前に棄権。今年は同じ前哨戦で左脇腹を痛め、完全に回復しないまま初戦に臨んだ。ケガの箇所こそ違うが、状況と経緯は1年前と酷似する。2回戦に向け「約束はできないですけど、まあ(棄権は)ないといいですね」と完全否定できないところに、抱える不安の大きさが表れた。

 ただ、その意味でも1回戦で難敵とみられた263キロの世界最速サーバーをストレートで下したのは大きい。計15のエースを決められるなど、この日も最速228キロをマークしたサーブに手も足も出ない場面もあったが「(コースは)読めていた。速すぎるやつは読んでも取れなかったですけど。ワンサイドが多く読みやすかった」と完全攻略した。

 5打以上のラリーが続いた場合の獲得ポイント数は、錦織の23に対してグロートは17。大差がつかず、得意のストローク戦にも持ち込めなかった中で、リターンの正確さが光った。特に平均速度が24キロも落ちる相手のセカンドサーブ時のリターンポイントは49本中26本で53%を獲得。「早いタイミングで打ち、その次に一発で決めるパターンが良かった」とうなずいた。

 昨年は1回戦でボレリ(イタリア)にフルセットで3時間22分を要したが、この日は2時間10分で試合を決め、患部の悪化と体力消耗を最小限に抑えた。最低目標の8強に向け、その資格を十分に示す、手負いの状態での貫禄勝ちだった。

 ≪錦織のベネトー戦成績≫ 通算3勝1敗。最近の対戦は14年9月のマレーシア・オープン決勝。直前の全米オープンで準優勝していた錦織が7―6、6―4のストレート勝ちで優勝を決めた

 ◆29日のウィンブルドン選手権テレビ放送
 ▽WOWOWライブ 19・30、24・00~ 
 ※時間は変更の場合あり

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