福島千里、日本新で五輪へ 6年ぶり0秒01更新「長かった」

[ 2016年6月27日 05:30 ]

女子200メートルを日本新記録で制し、喜びを爆発させる福島

陸上日本選手権最終日

(6月26日 愛知・パロマ瑞穂スタジアム)
 リオデジャネイロ五輪の代表選考会を兼ねて行われ、女子200メートルは福島千里(28=北海道ハイテクAC)が自らが持つ日本記録を6年ぶりに0秒01更新する22秒88(追い風1・8メートル)をマークし、6連覇を果たした。通算7度目の優勝で、7連覇した100メートルとの2冠を6年連続で達成。3大会連続の五輪、2大会連続の2種目での五輪出場を決めた。男子200メートルは日本歴代2位の20秒11(追い風1・8メートル)で優勝した飯塚翔太(25=ミズノ)が2大会連続の五輪代表を決めた。

 6年前の自分をようやく超えた。序盤からトップに立ち、勢いよくゴールを駆け抜けた福島がタイムに目をやった。表示は22秒88。10年に出した22秒89の日本記録を0秒01更新だ。「ギリギリ良かったと思いました」。27歳はニコッと表情を変え、そのまま両手を広げて走り続け21歳の記録を破った余韻に浸った。

 「本当にうれしいなって久しぶりに心から思えます。長かったですね」

 最終日にやっと回復した天気。追い風1・8メートルの好条件も重なった。中村宏之監督の「心配はやりすぎること。筋肉の質は柔らかく、故障は考えにくいが見定めていきたい」というさじ加減が効いてオフを順調に過ごした。初戦の織田記念国際の前に福島は「5月か8月か日本選手権のどれか」と日本記録更新を予言していた。2カ月前の言葉を今大会で証明。自信があったからこそ、27日の28歳の誕生日の前祝いになった記録を当然のように受け止めた。

 「出そう、出ると思って走ったので驚きはないです。でも、うれしさはあります」

 日本記録の更新を期待され、不発に終わるたびに涙を流してきた。「私、全然、気持ちが強くない。ご存じと思いますが」という自己分析は誰も異論を挟まないだろう。「今日だけで記録が出たわけでない。日々のトレーニングの積み重ね」と弱さを力に変えるために、練習を重ねてきた。

 10年バンクーバー五輪スピードスケート男子500メートル銅メダルの加藤条治とここ2年はタイミングが合えば一緒に練習し、刺激をもらった。同じ北海道幕別町出身で、リオ五輪出場を目指す女子7人制ラグビー日本代表・桑井亜乃とも旧知の仲。他競技の仲間から学ぶ姿勢が6年連続の日本選手権2冠を支えている。

 短距離の第一人者は3度目の五輪に目を向ける。「今日をいいきっかけにして、過去最高の納得がいくレースをしたい」。目指すは100メートルと200メートルの初予選突破。動きだした時計の針はもう止まらない。

 ◆福島 千里(ふくしま・ちさと)10年に100で11秒21、200メートルで22秒89の日本記録樹立。08年北京、12年ロンドン五輪代表。世界選手権は09年から4大会連続出場。北海道・帯広南商高出、北海道ハイテクAC。1メートル65、50キロ。28歳。北海道出身。

 ◇女子200メートル
(1)福島 千里(北海道ハイテクAC) [日]22秒88
(2)斎藤 愛美(倉敷中央高) 23秒46
(3)市川 華菜(ミズノ) 23秒86

[世]ジョイナー(米国) 21秒34
[日]福島 千里 22秒89
派遣設定記録22秒60 参加標準記録23秒20

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