五郎丸 トゥーロン入団会見 厳しい15番競争も「楽しみたい」

[ 2016年6月22日 05:30 ]

トゥーロン本拠地のスタッド・マイヨールでスタンドをバックにポーズをとる五郎丸(AP)

 ラグビーのフランス1部リーグ「トップ14」のトゥーロンに移籍するFB五郎丸歩(30=レッズ)が21日、ホームスタジアムで会見に臨み、8月20日に開幕する新シーズンへ意気込みを語った。トゥーロンではプレースキック前の「五郎丸ポーズ」の原型となった、元イングランド代表SOでキックコンサルタントのジョニー・ウィルキンソン氏(37)から指導を受ける。世界的名手のコーチングで、15年W杯の輝きを取り戻す。

 「チャンピオンチームからオファーが来て断る理由がなかった。選んだ道は険しいと思うが、チャレンジするだけのものがここにはある」。冒頭コメントを求められた五郎丸は、力強く語った。昨年末に水面下でオファーが届いたが、合意に至ったのは今月に入ってから。契約を交わすまでに半年間を要したが、五郎丸の腹は決まっていた。

 レッズでは13人制ラグビー元オーストラリア代表のハントとのポジション争いに敗れ8試合の出場にとどまった。新天地もウェールズ代表で自身同様にプレースキッカーのハーフペニーがフルバックに君臨。より厳しい15番争いが待つが「最高の環境で最高の選手と戦えるのを楽しみたい」。手術を受けた右肩の完治は8月下旬ごろで、開幕戦出場は微妙だが、あくなきチャレンジャー精神をのぞかせた。

 その高い壁を乗り越えるためにムラド・ブジェラル会長から用意されたのが、ウィルキンソン氏の指導だ。イングランドの03年W杯初優勝の立役者で、地元オーストラリアとの決勝の延長に決めた決勝ドロップゴールはあまりに有名。母国ではサッカー元代表のベッカム氏と並び称されるヒーローもまた、06年にクラブを買収した同会長に引き抜かれ、09~14年にトゥーロンでプレーした。

 12年前の04年7月8日、W杯で首を痛めて休養中だった同氏が早大上井草グラウンドを訪問。左足キックを真剣なまなざしで見つめていたのが、当時1年の五郎丸だ。手の組み方など細部は異なるが、五郎丸ポーズの原型は紛れもなくテストマッチ世界歴代2位の得点記録を持つ同氏。「指導されたのは12年前ですけど、それをきっかけに(取り組む)姿勢は変わった。12年ぶりにまた指導を受けることは非常に楽しみ」と心待ちにした。

 プレースタイルは変えられない。ならばレッズでは30得点にとどまったキック精度を磨くのみ。「期待してもらっているので、応えられるように努力していきたい」。世界的名手とともに、右足の輝きを取り戻す。

 ▽RCトゥーロン 1908年創設。1931年にフランス選手権(現トップ14)で初優勝。2000年に下部リーグに降格したが06年にムラド・ブジェラル氏がクラブ買収後に力を付け14年に4度目のリーグ制覇。欧州一を決める欧州チャンピオンズ杯でも13~15年に3連覇した。今季も24日のリーグのプレーオフ決勝に進出を決めている。

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2016年6月22日のニュース