初の難民五輪選手団 リオで希望のシンボルに

[ 2016年6月4日 08:12 ]

 国際オリンピック委員会(IOC)が3日、初の試みとして8月のリオデジャネイロ五輪に特別参加する難民のチーム「難民五輪選手団」の選手10人を発表した。バッハ会長は「故郷を失い、国旗や国歌がなくてもチーム全員が五輪で希望のシンボルになる」と意義を強調した。

 10選手の半分は内戦による長期混乱が続く南スーダンから選ばれた。その1人、陸上女子800メートルのローズ・ナティケ・ロコニエン選手(23)は幼少期に家族とともに戦火を逃れ、ケニアのカクマ難民キャンプに到着した。両親は6年後に母国へ戻ったが、女子マラソンの元世界記録保持者、テグラ・ロルーペさん(ケニア)が設立した財団の支援を受けて競技を続けた努力が結実した。難民五輪選手団の団長に就任した恩人とともにリオに向かう。

 シリアから昨年、ドイツに渡った競泳女子100メートル自由形のユスラ・マルディニ選手(18)は道中、定員オーバーとなったゴムボートから海に飛び込んで泳ぐ過酷な経験を経てベルリンで練習環境を確保した。五輪に出場できる標準記録も突破し「五輪旗の下で世界の難民に希望を与えたい」という夢をかなえた。

 柔道男子90キロ級のポポル・ミセンガ選手(24)と同女子70キロ級のヨランデ・ブカサ選手(28)はコンゴ(旧ザイール)の出身。3年前にリオで開催された世界選手権中にブラジルへの亡命を決め、五輪開催国で鍛錬を積みながら晴れ舞台を待つ。バッハ会長は「五輪を通じて社会に貢献できることもある。リオ五輪は歴史的な一歩になる」と笑顔で話した。

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2016年6月4日のニュース