錦織世代は谷間の世代!?成長著しい「新世代」の選手たち

[ 2016年5月31日 09:52 ]

N・キリオス(AP)

 全仏オープンの大会中盤にツアーの公式サイトにアップされた記事に、ラファエル・ナダルの叔父であり、コーチでもあるトニ・ナダル氏のこんなコメントが紹介されていた。「この新世代は、今度こそビッグ4の時代を変えていく選手たちになるだろう。今シーズンの終わりにはベスト8の顔ぶれが結構変わっているかもしれない」

 今回の全仏オープンは「新世代」のいいショーケースだった。19歳のチョリッチ(クロアチア)は米国期待の18歳、フリッツとの直接対決に勝利。勢いに乗って2回戦では第20シードのトミック(オーストラリア)を破る番狂わせを演じた。

 この世代最強と目されている19歳のズベレフ(ドイツ)は涼しい顔で3回戦まで進出。こちらも今季の進境著しい22歳のティエム(オーストラリア)とのホープ対決で敗れたものの、将来性の高さをアピールした。

 21歳のキリオス(オーストラリア)を含めた彼らが、“ビッグ4”後の時代(現時点ではそれがいつ訪れるのか想像もできないが)を担っていく。そんな風に期待され始めているのは確かだ。

 ナダル氏は「ラオニッチ(カナダ)や錦織は年上だから新世代ではない。だが彼らも新しいトップ10を体現する選手たちだ」と付け加えている。少し前ならディミトロフを加えた3人が、新世代トリオとして注目されていたものだ。しかしディミトロフはすっかり低迷。錦織を破って全米オープンを制したチリッチ(クロアチア)も元気がなく、本来ならこの年代のトップランナーだったデルポトロ(アルゼンチン)は手首のケガからまだ復活できていない。

 ラオニッチはまだフィジカルが十分でなく、錦織もどこか爆発力を欠いたまま、全仏オープンではそろって4回戦で姿を消すことになった。

 ビッグ4と新世代の狭間の世代。彼らはまだ十分に輝けずにいる。次世代に移ろうとしている期待の視線を再び取り戻し、時代の覇権をつかむことができるか。錦織世代には今後1、2年が大きな勝負であるはずだ。(記者コラム・雨宮 圭吾)

続きを表示

2016年5月31日のニュース