植田首位発進 安倍首相のキャディーも務めた28歳“初頂点”を

[ 2016年5月29日 05:30 ]

10番、ティーショットを放つ植田希実子

第4回マイナビシニア&レディースカップ第1日

(5月28日 千葉県柏市 藤ケ谷カントリークラブ=男子6884ヤード、女子レギュラー6349ヤード、女子レジェンズ5829ヤード、いずれもパー72)
 男女プロが同組で回る異色の混合戦で争われ、植田希実子(28=スリーハンドレッドクラブ)が3バーディー、1ボギーの70で回り女子レギュラー最上位の6位に付けた。5回目の挑戦でプロテストに合格した苦労人は、安倍晋三首相のキャディーを務めた経験もある。NOBUTA GROUP マスターズGCレディース(10月20日開幕、兵庫・マスターズGC)出場権が得られる女子レギュラー優勝を目指し、最終日に挑む。67で回った比嘉勉(52=かずさCC)が単独首位に立った。

 最終9番、4メートルのフックラインを沈めてパーセーブした植田はホッとしたように頬を緩めた。70でホールアウトし「ドライバーが悪かったので、ヒヤヒヤしたところもあったけど、アイアンが良くてスコアがまとまった」と満足そうに笑った。

 出だしの10番で15ヤードのチップインバーディーを奪い幸先良くスタートした。続く11番でボギーを叩いたものの、後半の2番で2メートル、3番は6メートルのパットを入れてスコアを伸ばした。終わって見れば12ホールでパーオンするなどアイアンショットがさえた。

 渡辺彩香ら多くのプロゴルファーを輩出する埼玉栄高出身。法大に進み3年時にプロを志した。卒業後は静岡・?城GCに研修生として入社。照明の下で連日夜9時まで練習に打ち込んだ。所属プロの藤田寛之からも指導を受け「パットの重要性と、毎日コツコツ努力することの大切さを学んだ」という。だが、ゴルフ漬けの生活も実を結ばず、プロテストでは不合格が続いた。

 環境を変えるため14年2月に神奈川のスリーハンドレッドクラブに移り、キャディーをしながら練習に励んだ。同クラブは著名人300人で組織される名門コースで、メンバーは政財界の大物ばかり。安倍首相のキャディーを務めたこともある。「凄く緊張した。普通の生活をしていたら会うことのない方だから。何を会話したかは覚えていません」。そうしたさまざまな経験を経て同年7月に5回目の挑戦でプロテスト合格を果たした。

 しかしプロの世界でも苦労は続く。レギュラーツアーの予選通過が一度もなく獲得賞金は0円。今大会で女子レギュラー優勝者に与えられるマスターズGCレディース出場権は喉から手が出るほど欲しい。「レギュラーツアー出場のチャンスがもらえるのは大きい。経験を積みたいので明日も頑張る」と意欲を口にした。総合優勝の賞金200万円も魅力だ。タイトルを争う一人の水巻は法大の大先輩。「先輩と優勝争いできたらうれしい」と声を弾ませた。

 ◆植田 希実子(うえだ・きみこ)1987年(昭62)11月9日、埼玉県川口市出身の28歳。小、中学生時代は水泳とテニスに打ち込んだ。両親の影響で15歳からゴルフを始める。埼玉栄高、法大ではゴルフ部に所属。法大時代に07年信夫杯争奪日本大学ゴルフ対抗戦(団体戦)優勝。14年プロテスト合格。1メートル65、55キロ。

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