エース萩野の金ロード!リオ五輪で大也とのライバル対決に終止符を

[ 2016年5月26日 09:15 ]

笑顔で欧州遠征に向けて出発する(前列左から)萩野と星。後列右は平井日本代表監督

 リオデジャネイロ五輪競泳男子400メートル個人メドレー金メダル候補の萩野公介(21=東洋大)が25日、成田空港発の航空機で約2カ月間の欧州遠征へ出発した。実戦を兼ねた最後の追い込みで心技体を研ぎ澄まし、中2から始まった瀬戸大也(22=JSS毛呂山)とのライバル対決に決着をつける。この日までにスポニチ本紙の単独インタビューにも応じ、中学時代に初めて瀬戸に敗れて生じた意識の変化などを語った。

 無欲で400メートル個人メドレーの銅メダルを手にしたロンドン五輪とは違い、萩野は4年間でエースの看板を背負うまでに成長した。最後の追い込みとも言える遠征を前に「やってやるぞという気持ち。最高に濃密な2カ月になれば」と自覚がみなぎった。遠征では3大会に出場。実戦感覚を磨きながら練習し、最後は高地で心肺機能を高めてリオに乗り込む。「レースに出ながら練習も積んで、五輪に向けて何をするのがベストなのか考えながら毎日を過ごしていきたい」と力を込めた。

 ついに瀬戸とのライバル対決に終止符が打たれる。本紙のインタビューで振り返った衝撃の瞬間は中2だった08年8月27日のジュニアオリンピック。400メートル個人メドレーで瀬戸に敗れた。1秒45差。5日前の大会は6秒の大差で勝っていた。同学年の選手に初めて敗れ「常に自分との勝負ばかりで、優勝してもタイムが良くなかったら全然うれしくなかった。その中で(瀬戸)大也が出てきて、自分が初めて敗れ、悔しい気持ちはあったけれど、今までとは違った意味で水泳が新しく始まった」と視界が開けた。

 ライバル出現でレースに臨む気持ちが大きく変化した。「勝負の時に意識することが増えた。あの選手に負けないように頑張りたいと思うようになった。ただ、今でも思うのは最大の敵は自分ということ」。他人を意識し、自分と向き合わせてくれたのも瀬戸だった。

 ロンドン五輪後、北島康介氏を育てた平井伯昌氏が監督を務める東洋大に進学。「教わりたいと思った理由も、やっぱり自分の苦手な平泳ぎをもっと伸ばしていきたいと思ったから」と明かす。

 瀬戸に差を縮められる種目だった平泳ぎは、日本選手権に出場する選手ぐらいのレベルに成長。「泳ぐ時は最後の蹴り出しを尻で蹴って進むイメージがあった。それを筋力をつけたことで、できるようになったのは大きい。ただ、僕の場合、全てが下手くそ過ぎたんで直すのも簡単でした」と自ら能力を開花させた。

 4月の日本選手権前のスペイン合宿では、まだ現役だった北島康介氏と同部屋になった。「試合では北島さんみたいに“絶対に負けない”という強い気持ちを持つことが大切。リオではいい泳ぎを見せられるように頑張りたい」。瀬戸に敗れて目覚め、北島氏に刺激を受けて成長してきた。エースの自覚を、リオで金色の結果に結びつける。 (宗野 周介)

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2016年5月26日のニュース