リオで襲撃されたスペイン代表選手「生きていられるのは幸運」

[ 2016年5月24日 09:30 ]

スペインのセーリング男子代表、フェルナンド・エチャバリ

 リオデジャネイロでピストルを持った5人組に襲撃されたスペインのセーリング男子代表、フェルナンド・エチャバリ(43)が23日、AP通信の取材に答えて「生きていられるのは幸運だった」と事件の生々しい模様を詳細に語った。

 2008年の北京五輪(トルネード級)で金メダルを獲得しているエチャバリは2週間前からリオデジャネイロで練習を行っており、レストランやバーなどが点在している丘陵地帯のサンタテルサに宿泊。事件の起こった21日には、丘の上にあるホテルから他の選手とコーチ各1人の計3人で徒歩20分の距離にある五輪セーリング会場に行く途中だった。

 その坂を下っている途中で強盗にピストルを胸につきつけられて立ち往生。「みんな16歳以下だった」と犯人は全員が少年で、携帯電話と身につけていた電子機器類を渡すと走って逃げていったという。同選手は同じリオデジャネイロで行われた2009年の大会時も強盗に襲われているが「あの時の犯人は手慣れていて冷静だったが、この少年たちは挙動不審で明らかにドラッグを服用していた」と当時との違いを説明。さらに「歩いて行ったたのが間違いだった。(自分たちは大丈夫だと)過信していた。タクシーか車で行くべきだった」と自戒をこめたコメントとともに「市当局はもっと警備を厳重にする必要がある」とリオデジャネイロ市側への不満もぶつけた。

 今回は4年前のロンドン五輪の2倍に相当する8万5000人の警官を大会期間中に動員するが、経済停滞による経費節減のためにすでに警備関連予算の2割がカット。リオデジャネイロ州のホセ・マリアーノ・ベロトラメ公安長官は軍の出動をブラジル政府に要請している。しかし現状では世界有数の犯罪多発地域で安全を確保するのは難しい状況。セーリング会場はオリンピック公園から車で1時間の距離にあり、同競技に出場する多くの選手が会場周辺のホテルに宿泊するとあってリスクはさらに増加している。

 この事件を受けて国際セーリング連盟のアンディ・ハント局長はグアナバラ湾のヨットハーバー周辺での警備強化をリオデジャネイロ市に要請。「可能の限りの警備を準備しているのかどうかを確かめてほしい。我々は選手に対して安全であることを知らせる必要がある」と迅速な対応を迫っていた。

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2016年5月24日のニュース