「テロリストの家族」がテコンドー五輪代表候補に

[ 2016年5月22日 09:57 ]

リオデジャネイロ五輪出場権をかけたテコンドー欧州選手権の男子54キロ級で優勝したベルギーのムーラド・ラーシュラウイ(AP)

 リオデジャネイロ五輪の出場権をかけたテコンドーの欧州選手権がこのほどスイス・モントルーで行われ、男子54キロ級ではベルギーのムーラド・ラーシュラウイ(21)が、決勝でスペインのトルトサ・カブレラ(18)を6―3で下して優勝。4階級のみで開催される五輪ではライト級(58キロ以下)での出場権を得たが、ベルギー国内および世界各国に大きな衝撃を与える結果となった。

 13年にシリアを逃れてベルギーにやってきた同選手の兄は、今年の3月にブリュッセル国際空港を爆破した容疑で逮捕されているナジム・ラーシュラウイ容疑者(25)で、ベルギー同時テロでは「爆弾製造係」だったとされている。

 弟のラーシュラウイは「13年以降、兄には会っていないし消息も家族からは聞いていなかった。ニュースを聞いたときには恐ろしくなって悲しかった」とコメント。同選手は今年に入って米国やエジプトの大会で優勝し、欧州選手権では世界選手権3位のロシア代表にも勝つなど優秀な成績を残しているが、代表になった場合にベルギー国民がどのような反応を示すかが注目されている。また「テロリストの家族」をブラジル政府がどこまで受け入れるも不透明。ただでさえ殺人や強盗事件が多発している状況の中で、選手1人の警備を厳重にするわけにもいかず、難しい対応を迫られそうだ。

 なおラーシュラウイは54キロ級では世界ランク3位だが58キロ級ではトップ10に入っておらず、五輪に出場した場合にはより重いクラスでの参戦となる。

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2016年5月22日のニュース