稀勢12連勝!初V&綱獲り懸け白鵬と全勝決戦

[ 2016年5月20日 05:30 ]

照ノ富士を押し出しで破る稀勢の里(左)

大相撲夏場所12日目

(5月19日 両国国技館)
 大関・稀勢の里が無傷の12連勝で初優勝と横綱昇進の望みをつないだ。大関・照ノ富士戦はまわしを取れなかったが、右喉輪で上体を起こして危なげなく押し出した。横綱・白鵬は大関・豪栄道を引き落としで退け、同じく無傷。13日目は全勝対決となった。14勝以上の優勝、3横綱撃破が横綱昇進の条件とされている稀勢の里は最大の難関に立ち向かう。

 両膝を痛めている照ノ富士が相手でも、厳しい攻めを貫いた。最初の立ち合いで突っかけられ、2度目の立ち合い。まわしに手が届かなかったが慌てなかった。左で抱え込むと右喉輪で186キロの巨漢大関の上体を起こし、3秒余りで勝負をつけた。

 初日から13連勝した13年夏場所以来の12連勝。東の支度部屋では「良かったですね。いいんじゃないですか」と淡々と振り返った。まわしにこだわらなかったことに「そういう展開だから」と平然。土俵下から見た藤島審判長(元大関・武双山)は「緊張しているように見えたが相撲内容は良かった」と思い通りにならなくても冷静に対処した取り口を評価した。

 二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)は場所前、3横綱を倒した上での14勝以上の優勝を横綱昇進の条件としたが、クリアできる可能性を残した。13日目からは横綱3連戦。その最初の相手で最大の関門となるのが白鵬だ。白鵬との全勝対決は13年夏場所14日目以来2度目で、前回はすくい投げで転がされた。先場所11日目には1敗の白鵬に初黒星を喫し、やはり賜杯を逃した。それだけに八角理事長(元横綱・北勝海)は「とりわけ明日の一番。明日勝って(優勝)決定戦の権利を得たくらい」とみている。その上で「左のおっつけができるかどうか。差し勝っても自分から動かないと」と積極性を期待した。

 今場所は出番前の控えで、表情を緩めたり上の方を眺めたりしている。この日の朝稽古後に「何を眺めている」と尋ねられると「上に何かあるんじゃないですか」と笑顔交じりに話した。白鵬を破って単独トップに立てば“上にある”横綱という地位が見えてくる。亡き先代師匠の元横綱・隆の里の初優勝は、初土俵から14年2カ月後の82年秋場所(全勝優勝)だった。稀勢の里は02年春場所の初土俵から今場所で14年2カ月。20代最後の場所で、遅咲きだった亡き師匠同様に結果を出せるか。白鵬戦は人生を左右する大一番となる。

 ▽稀勢の里対白鵬 白鵬が最も負けているのは対戦成績32勝20敗の日馬富士だが次に負け数が多いのは42勝13敗の稀勢の里。優勝争いの勝負どころでは、ことごとく稀勢の里が負けている。しかし、連勝記録に関しては白鵬の天敵。10年九州場所2日目には白鵬の史上2位の連勝記録を63でストップさせた。13年名古屋場所14日目にも43連勝で止めている。

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2016年5月20日のニュース