宇良 押し出しで関取初白星「“居反り”出なくても応援して」

[ 2016年5月10日 05:30 ]

宇良は低い立ち合いから休まず攻め鏡桜を押し出し関取1勝

大相撲夏場所2日目

(5月9日 両国国技館)
 懐に潜り込んで後ろに反って倒す「居反り」を代名詞とする宇良が力強い“押し相撲”で関取初勝利をつかんだ。持ち前の低い姿勢で幕内経験者の鏡桜を攻め込むとハズで一気に押し出し。取組後に力水をつける際に「立つ位置が分からなかった」と戸惑う姿は初々しい新十両そのものだったが「押しても引いても変わらない。常に平常心。一喜一憂しない」と淡々と相撲内容を振り返る言葉には大物感が漂った。

 関学大出身初の力士として入門し、史上4位タイの所要7場所で十両に昇進。「大好きな色」であるピンクの締め込み、そして127キロの小さな体から繰り出す技能で館内を沸かせる姿は明らかに個性派だ。だが「小さい頃から押しもやっていますから。居反りという技のせいで苦しめられている」と正統派のプライドものぞかせる。大学4年時に出場した格闘技・武道の世界大会で居反りを決めて注目を集めたが、母・信子さんは「小さい頃に“お相撲さんで一番強い技は?”と聞いたら“押し出し。押しが絶対一番!”と答えた。稽古ではずっと押しを練習した」と証言。その上で「目標を自分で決めて絶対に実行した子。その日のうちにやれないと夜泣きして寝られない子」と性格を明かす。幼少時にうまく滑れなかった滑り台はできるまでとことん何度も挑戦し、食事もどんなに時間がかかっても食べ切っていたという。

 押しを基本とした臨機応変な取り口を心掛けるため、プロ入り後に居反りはまだ出していない。本人は「注目していただいたきっかけは居反り。出なくても応援してほしいし、偶然出たら“いい日”という感覚で見てほしい」と説明。居反りを見たいのは誰しもの願いだが、この日のような“押しの宇良”に注目するのもまた面白い。

 ◆宇良 和輝(うら・かずき)1992年(平4)6月22日、大阪府寝屋川市生まれの23歳。4歳で相撲を始める。中学時は小3から始めたレスリングに力を注いだ。京都・鳥羽高時から相撲に専念し、関学大4年時には全国学生個人体重別選手権無差別級3位、武術・格闘技の世界大会「ワールドコンバットゲームズ」相撲(85キロ未満級)で優勝。昨年春場所初土俵。1メートル73、127キロ。血液型B。

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