白鵬、積み重ねた白星…驚速幕内最多879勝 6年早く魁皇に並ぶ

[ 2016年5月9日 05:30 ]

隠岐の海を寄り倒しで下す白鵬(左)

大相撲夏場所 初日

(5月8日 両国国技館)
 横綱・白鵬(31=宮城野部屋)は小結・隠岐の海(30=八角部屋)を寄り倒し、魁皇に並ぶ史上1位の幕内879勝目を挙げた。先場所は勝負がついた後の2度のダメ押しが物議を醸したが、その反省を生かして相撲内容も冷静そのもの。2場所連続37度目の優勝に向けて大横綱が好スタートを切った。初日に横綱、大関陣が全員勝つのは昨年初場所以来となった。

 どんな大記録を達成しても白鵬が平然と喜びを語るのは、それを通過点と考えているからだ。魁皇の幕内最多879勝に肩を並べた支度部屋。「率直にうれしい。積み重ねた白星がここに来て1位になった。さらに伸ばしていく“いいタイミング”です」。38歳まで現役を務めた魁皇が18年かけて打ち立てた記録を、わずか12年で成し遂げた31歳の目は、早くも先を見据えていた。

 記録面だけでなく相撲内容でも模範を示した。先場所は宝富士に不覚を取った初日。この日は隠岐の海に得意とは逆の左四つをつくられたが、右から絞って華麗に下手を切った。二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)も「みんな白鵬の相撲を勉強すればいい」とうなる高等技術で形勢を逆転し、一気に前に出て寄り倒し。先場所は4日目の隠岐の海戦と中日の嘉風戦でダメ押しを犯して審判部に呼び出される騒動を起こしたが、この日は勝負後に倒れた相手に手を差し伸べる余裕が芽生えていた。

 白鵬は幕内初白星を挙げた12年前について「場所前の春巡業の稽古で(当時横綱の)朝青龍関を浴びせ倒して勝っちゃったんだよな。大関に上がるまでは楽しかった。その頃は自分が横綱になれるとは夢にも思わなかったけど」と振り返る。朝青龍には「近い将来、間違いなく俺のライバルになる」と言わしめた。ただただ怖いもの知らずの19歳。だが、干支(えと)が一回りした今「強い者が大関となり、宿命を持つ者が横綱になる。強い大関の記録を超えるのもまた宿命」と人生を達観する境地にいる。

 元大関・魁皇の浅香山親方は「大関だった俺と比べるものじゃない。もっと伸びる」と話し、八角理事長(元横綱・北勝海)も「まだまだこれから」と背中を押した。前人未到の幕内1000勝までは121勝。本人は「やめてよ。今日は今日」と謙遜したが、夢ではなく現実そのものだ。

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