米ゴルフ界の新星デシャンボー、自らを「科学者」と呼ぶ理詰めぶりとは

[ 2016年5月2日 09:00 ]

米ゴルフ界で最も注目を集めているブライソン・デシャンボー

 米ゴルフ界で最も注目を集めている若手と言えばブライソン・デシャンボーだろう。カリフォルニア州出身の22歳。15年には全米アマチュア選手権と全米体育協会ゴルフ選手権の2冠を達成した。同一年に両大会を制したのはジャック・ニクラウス、フィル・ミケルソン、タイガー・ウッズ、ライアン・ムーアに次いで5人目の快挙だった。

 アマチュアとして出場した今年のマスターズで21位に入りローアマに輝くと、翌週のRBCヘリテージでプロデビューして、いきなり4位の好成績を残した。実力も申し分のないスーパールーキーなのだが、変わり者であることも多くのファンの関心を引きつける。

 南メソジスト大では物理学を専攻した。自らを「科学者」と呼ぶデシャンボーは何でも理詰めで考える。それはゴルフに関しても変わらない。

 アイアン7本とウエッジ3本の長さは全て同じ。通常は番手ごとに0・5インチ違うのだが、6番アイアンと同じ37・5インチに統一している。そしてライ角は10本とも69度。かなりアップライトな設定だ。デシャンボーはシャフトと腕がほぼ一直線になるように構えて極端にアップライトな軌道で振り切る。腕とクラブを一体化させてより再現性の高いスイングを作り出しているわけだ。

 さらにおもしろいのはクラブ1本1本に名前を付けているところ。その由来もしゃれている。たとえば3番アイアンはギリシャ語のアルファベットの3番目の文字から「ガンマ」。6番アイアンはオーガスタ・ナショナルGCの6番ホールの愛称「ジュピター」、ロフト角42度の9番アイアンは背番号42を付けた黒人初の大リーガー、ジャッキー・ロビンソンにちなみ「ジャッキー」、ロフト角60度のロブウエッジは1960年マスターズ優勝者アーノルド・パーマーの愛称から取って「キング」という具合である。

 これほどのこだわりを持つ男が、用具契約にあたってブリヂストン社製のボールを選んだというのは日本の技術を認めてくれたようで誇らしい。タイガー・ウッズとも、ジョーダン・スピースとも違うタイプのアメリカンヒーロー候補。今後の動向から目が離せない。(福永 稔彦)

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2016年5月2日のニュース