渡嘉敷来夢 “世界ってすげーな”「ボコボコにされて、それが新鮮」

[ 2016年4月27日 12:30 ]

バスケットボール日本代表・渡嘉敷来夢

「カウントダウンリオ」バスケットボール女子・渡嘉敷来夢(2)

 27日でリオデジャネイロ五輪まで、あと100日。五輪での活躍が期待される選手に迫る大型企画「カウントダウンリオ」第1回はバスケットボール女子のエース渡嘉敷来夢(24=JX―ENEOS)の「負けたから今がある」。「50年に一人」といわれる天才は、先輩たちが流した涙で覚醒した。

 半年間のリハビリを終え、迎えた12―13年シーズン。衝撃の復活でエースの座を手にする。リバウンド、ブロックショット、フィールドゴール成功率の3部門でリーグ1位。プレーオフ・ファイナル4試合では両チーム最多となる1試合平均25・75点を記録して優勝にも貢献し、2季ぶりの最優秀選手にも選出された。13年アジア選手権でも獅子奮迅の活躍で日本を1970年以来43年ぶりの大会制覇に導き、MVPを受賞した。

 五輪への意識が高まった次は世界を知って飛躍する。アジア王者として臨んだ14年世界選手権。舞台は2年前に涙をのんだトルコのアンカラだ。雪辱を期したコートだったが、日本は3戦全敗で16チーム中、14位。過去12回出場した中で最低の成績だった。初の世界大会となった渡嘉敷自身も1試合平均11・3得点と抑え込まれた。しかし、転んでもただでは起きないのが「究極の負けず嫌い」と自負する女の真骨頂だ。

 「世界ってすげーなって思いました。知らない場所に凄い選手がいっぱいいると思ったら、楽しくなりました。初めての世界選手権でボコボコにされて、それが新鮮で、いつかこいつら見返してやろうと思うと、世界でプレーしたい気持ちが強くなった。そこで羽ばたきたいと思った」

 早速行動に移した。自らのプレー集を収めたDVDをつくり、ホーバス氏を通じて世界最高峰の米プロリーグWNBAに売り込んだ。そして、シアトル・ストームから声が掛かると14―15年シーズンを終えて海を渡った。萩原美樹子、大神雄子に次ぐ日本人3人目のWNBA挑戦。開幕ロースター(登録メンバー)入りを果たし、新人ベスト5に選出されると新たに3年契約(推定)を結び、世界に認められた。

 WNBA2季目へ向かう4月20日の成田空港。「メダルへの挑戦」というチームスローガンを心に刻んだエースは、自らの可能性を信じ、機上の人となった。

 ◆渡嘉敷 来夢(とかしき・らむ)1991年(平3)6月11日、埼玉県春日部市出身の24歳。桜花学園高2年の08年に史上最年少の16歳で日本代表候補に選出される。10年にJX―ENEOSに入団。1年目の10―11年シーズンにWリーグ史上初となるルーキーオブザイヤーとレギュラーシーズンMVPに輝く。15年に米プロリーグWNBAシアトル・ストーム入団。1メートル93、85キロ。

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