敏京 米2勝目、藍以来のシーズン複数V 五輪メダルも視野

[ 2016年4月26日 05:30 ]

スウィンギングスカート・クラシックを制し、米ツアー2勝目!17番でバーディーを奪いガッツポーズする野村(AP)

米女子ゴルフツアー スウィンギングスカート・クラシック最終日

(4月24日 米カリフォルニア州デーリーシティー レークマセドGC=6507ヤード、パー72)
 首位から出た野村敏京(23=フリー)が5バーディー、6ボギーの73で回って通算9アンダーで逃げ切り、2月のISPSハンダ女子オーストラリア・オープンに続くツアー2勝目を挙げた。日本勢のシーズン複数回優勝は12年に2勝した宮里藍以来。賞金ランクは2位に浮上。25日付のロレックス世界ランキングでは日本勢最高の23位となり、リオデジャネイロ五輪出場にも大きく前進した。

 10センチほどのウイニングパットをタップインすると野村は右手の拳を握りしめた。4打差の快勝。「凄く寒い中、いいプレーができた。凄くうれしい。自分を誇りに思う」と歓喜に浸った。

 15メートル以上の強風が吹く中、強豪が軒並みスコアを落とした。3打差の首位で出た野村も7番から3連続、11番でもボギーで急降下。一時は5打もあったリードはわずか1打に減った。その悪い流れを自ら断ち切った。

 12番パー3。20メートルのスライスラインをねじ込んで起死回生のバーディー。ガッツポーズを何度も繰り返した。「ラインに乗って、近づいていくにつれて入ったなと分かった」。後続との差を把握はしていなかったが「私、勝つなあと思った」と確信し、17番のバーディーで勝利を決定付けた。

 ツアー初優勝から2カ月で2勝目。躍進の理由を「気持ちに波がなくなった」と分析する。キャディーのマクディード氏も「どんなときも気持ちがフラット。あの強さは凄い」と絶賛する。以前は母・文昭英さんがツアーに同行していたが、今は時折応援に来るだけで「洗濯も食事も自分でやる」。独り立ちが精神面の成長を促した。

 また昨季途中までは、おじがコーチとキャディーを兼務したが、バッグを担ぎながら細かく指示を出されることで関係がぎくしゃくした。そこで今季から専属キャディーを雇い、コーチはロープ外から見守る。役割分担がはっきりしたことも好成績につながった。

 今季のバーディー数は173で2位に21個の大差をつけてツアー1位。平均飛距離が昨季の248・63ヤードから259・6ヤードと約11ヤード伸びて余裕が生まれた。平均パット数も昨季の30・06から28・78に改善。チャンスを確実にものにしている。

 賞金ランク2位に浮上。リオデジャネイロ五輪には「出られたらうれしいけど、試合の一つ」と重きは置かないが、当然メダル候補だ。そしてメジャー初制覇も現実味を帯びる。「今年は米ツアーで勝つのとメジャーで勝つのが目標だった。ツアーで2勝できたので、次はメジャーで勝ちたい」。日本女子2人目の快挙に照準を絞った。

 ◆野村 敏京(のむら・はるきょう)1992年(平4)11月25日、横浜市生まれの23歳。父は日本人で母は韓国人。誕生前に大きな体と判明し、韓国で男性名とされる「敏京」と命名された。5歳まで横浜市で育ち、その後高校卒業までソウルで暮らした。10歳でゴルフを始め07年日本ジュニア選手権12~14歳の部優勝。10年12月に日本国籍を選択しプロ転向。11年日本ツアーの中京テレビ・ブリヂストン・レディースで優勝。13年12月米ツアー最終予選会で上位に入り14年から本格参戦。1メートル66。

 ▼五輪競技対策本部・倉本昌弘強化委員長 野村選手はリオ五輪代表の有力候補なので、このまま頑張っていただきたい。前週の日本ツアーで勝った大山選手も五輪出場を希望しているし、互いに刺激し合って調子のいい選手が代表に選ばれたらいいと思う。

 ▼日本女子プロゴルフ協会・小林浩美会長 複数優勝おめでとうございます。心技体全てにおいて、高いレベルで戦っているからこその2勝目ですね。さらに勝ってください。

 ▽リオデジャネイロ五輪の女子ゴルフ 8月17日から4日間、リオデジャネイロ近郊のリンクスコース、レセルバ・マラペンディGCで開催され、72ホールのストロークプレーによる個人戦で争われる。出場選手60人は7月11日付の世界ランキングを基に決定する。出場枠は原則として各国2人で、ランキング15位以内に入れば各国4人を上限に増える。開催国ブラジルはランキングにかかわらず少なくとも1人が出場できる。

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