大山“第2の故郷”熊本にささげる逆転V!優勝賞金全額寄付

[ 2016年4月25日 05:30 ]

<フジサンケイレディス最終日>優勝杯をかかげて笑顔の大山志保

女子ゴルフツアーフジサンケイ・レディース最終日

(静岡県伊東市 川奈ホテルゴルフコース富士コース=6367ヤード、パー72)
 第2の故郷を勇気づける逆転優勝だ!首位と3打差の6位から出た大山志保(38=大和ハウス工業)が4バーディー、ノーボギーの68をマーク。通算11アンダーの205で06年大会以来10年ぶり2度目、ツアー通算17勝目を飾った。大山は7年間にわたって熊本で生活した経験があり、優勝賞金1440万円全額を熊本地震の被災地に寄付することを表明した。単独首位から出た熊本出身の笠りつ子(28=京セラ)は72と伸ばせず、通算10アンダーの2位だった。
【最終R】

 練習グリーンでプレーオフの準備をしていた大山の耳にギャラリーの悲鳴が飛び込んできた。アン・ソンジュが最終ホールでダブルボギーを叩き優勝が決定。「アンちゃんがパーパットを外したのを見て練習していた。悲鳴が聞こえて何事ですか、と聞いたら優勝だと。今でも信じられない」と目を丸くさせた。

 だが決して“棚ぼた”でつかんだ勝利ではない。「熊本のために良いゴルフをしたかった。私がテレビに映るのを見て少しでも元気になる人がいれば」。宮崎県出身だが、熊本中央女子高へ進学。日大卒業後に再び熊本へ戻り、元LPGA会長の清元登子プロの下で4年間修業した。高校時代に友人と遊びに行った熊本城や、厳しい練習を積んだ熊本空港CCは、慣れ親しんだ場所でもある。

 今月14日、計7年を過ごしたその熊本を大地震が襲った。大会出場のため現地を訪れていた大山も被災したが、15日に帰京。「ゴルフをしたくなかった。現地で何か手伝いがしたかった」と心はざわついた。だが、キャディーのデイナ・ドリュー氏に「行っても志保ができることはない。それより、ゴルフを頑張って熊本を勇気づけたらどうか」と諭され、目が覚めた。

 修正能力とメンタルが光った。ティーショットのつかまりが良くないと感じていたが、15番でボール位置を1個分中に入れる修正をし、飛距離が戻った。16番パー5の1Wはフォローの風にフェアウエーの下り傾斜も手伝って実に307ヤードを記録。第2打はグリーン奥に外したが、巧みなロブショットでピンそば10センチにつけバーディー。首位アン・ソンジュを捉えると、勝負どころの最終18番は残り144ヤードの第2打を8Iで1・5メートルにつけバーディーで締めた。

 大会前から「優勝したら賞金を全額寄付」と表明していた。11年の東日本大震災でも被災地に500万円を寄付しており、今回も同程度を想定していたが、優勝したことでうれしい誤算となった。ツアー通算17勝目を飾ったベテランが、自らを育ててくれた第2の故郷に恩返しを果たした。

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2016年4月25日のニュース