北島 競技人生に「悔いなし」 スポーツキャスターで各局争奪戦も

[ 2016年4月11日 05:30 ]

平井委員長(左)と笑顔で握手を交わす北島

 競泳平泳ぎで04年アテネ、08年北京五輪連続2冠の北島康介(33=日本コカ・コーラ)が10日、東京辰巳国際水泳場で引退会見を開いた。最後の挑戦となったリオデジャネイロ五輪選考会での代表落ちには悔しさを見せつつ、自身の背中を見て育った後輩に次の時代を託した。今後は水泳教室などを行っている会社「IMPRINT」の社長業に専念しながら、後輩たちを応援していく。

 長きにわたり競泳ニッポンをけん引した男の引退会見に、210人の報道陣が集まった。晴れやかな表情の北島は一礼してから着席。00年シドニーから12年ロンドンの五輪4大会でメダルは、金4、銀1、銅2。偉大な足跡を残し「僕が僕らしく一番興奮できる場所、それがオリンピックだった。今、世界に行って戦えるレベルでもない。その意味でも自分が引いて、応援したい」と現役生活に別れを告げた。

 闘争心をむき出しにした野獣のような目でライバルを威嚇し、勝負の日のため、過酷な練習にも耐えてきた。28年間の競技生活に「悔いはない」。だが、全てをぶつけた戦場を去る日が訪れ「レースは1分、2分で終わるが、そこまでの過程が濃い。その瞬間がなくなると、心に穴があいてしまうのかな」と空虚感をにじませた。

 今回の五輪選考会では、64年東京五輪を除けば史上最多34人が代表入り。「日本人でも金メダルが獲れる」ことを証明した北島に憧れ、五輪を目指したスイマーたちは“北島ロス”にショックを隠せない。そんな中、「(15歳の)池江さんとかはテレビで見たことある人ぐらいでよく分かってないと思うけど、(後輩の選手が)僕の背中を見て強くなりたいと思ってくれたのは幸せ」と感謝した。

 リオの競泳初日は男子400メートル個人メドレーに日本記録保持者の萩野と世界選手権2連覇中の瀬戸が出陣する。これまでは2日目の平泳ぎで優勝しチームを鼓舞するのが自身の役目だった。キング北島は「萩野はとんでもない選手。五輪金メダルで感動を味わってほしい」とエースに役割を託した。リオ五輪に向けては周囲からは臨時コーチを望む声があり、また、スポーツキャスターとして各局による争奪戦が繰り広げられる見通し。いずれにせよ、記録にも記憶にも残るカリスマスイマーは今度は第二の人生で金メダルを目指す。

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