金藤 五輪切符!「やばいぐらい似ている」澤級活躍でリオ金視界

[ 2016年4月10日 07:07 ]

女子200M平泳ぎで、日本新記録で決勝を制しリオ五輪出場を決めた金藤

競泳リオデジャネイロ五輪選考会兼日本選手権第6日

(4月9日 東京辰巳国際水泳場)
 金メダルが見えた!女子200メートル平泳ぎは27歳の金藤理絵(Jaked)が今季世界ランク1位の2分19秒65で優勝。史上4人目となる2分19秒台は12年ロンドン五輪銀メダルに相当する好タイムで、15年世界選手権優勝で代表が内定していた渡部香生子(19=JSS立石)を抑え、残り1枠の五輪切符を2大会ぶりに勝ち取った。

 75メートルを過ぎて金藤は抜け出した。100メートルは日本記録を0秒62上回るハイペース。館内に響く声援を力に変えて、12年ロンドン五輪の選考会でかわされた渡部を置き去りにした。残り50メートルで「日本記録を上回っている」と記録を予感しながら進むと、その先には約10年前の東海大入学時に加藤コーチが「おまえなら出る」と約束した2分19秒台の大記録が待っていた。

 「加藤コーチに感謝です。今までこんなに待たせてごめんなさい。そして、待ってくれてありがとう」。何度も引退を引き留めてくれた恩師への心から出た言葉だった。

 今年2月には高速水着時代の日本記録を約7年ぶりに更新。並々ならぬ努力でカムバックを果たしたが、転機は世界選手権200メートルで6位に沈んだ昨年8月だった。以前は結果が悪いと、コーチに「やめたい」と訴えてきたが、この時は「凄い情けなくて、それを応援してくれる人の記憶に残る、最後のレースにしたくなかった」と振り返る。プライドが心も体も、生まれ変わらせた。

 1人で行ってきた筋力トレも、加藤コーチに「初めてJISS(国立スポーツ科学センター)でやりたい」と頭を下げ、本気で取り組んだ。試合でもタイムや泳ぎ方にこだわって勝負から逃げてきたが「勝つこと」を意識した。自ら「後半型」と思い込んで前半を抑えていたが、最初から積極的に出て、本当の自分を発見することができた。

 夢がある。大学時代の教材に、元なでしこジャパンの澤穂希さんの写真が掲載されていた。「やばいぐらい似ているなと」。金藤は空港や電車内で「澤じゃね!?」と間違えられるたび「光栄」と感じている。今季世界1位のタイムで五輪金メダル候補に名乗りを上げ「“澤さんと似ている人が水泳界にいるよ”と見てもらって“この人も凄いじゃん”って言われたい。それで水泳も注目されたらうれしい」と期待。そして「五輪でも、ありのままの自分で今度は世界新を狙って泳ぎたい」と言った。たくさんの涙を流したプールに恩返しする時がきた。

 ◆金藤 理絵(かねとう・りえ)08年北京五輪女子200メートル平泳ぎ7位。12年ロンドン五輪は代表入りを逃した。世界選手権の200メートル平泳ぎで09年5位、11年5位、13年4位、15年6位。広島・三次高、東海大、東海大大学院出、Jaked。1メートル75、64キロ。27歳。広島県出身。

 ▽女子200メートル平泳ぎ(1)金藤 理絵(Jaked)[日]2分19秒65(2)渡部香生子(JSS立石) 2分23秒54(3)今井月(豊川高) 2分24秒29 派遣標準記録 2分23秒21※白字は五輪代表権獲得、渡部は15年世界選手権優勝で五輪決定済み

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