北島 五輪崖っ縁…2位奮闘も派遣標準0秒30届かず

[ 2016年4月6日 05:30 ]

五輪派遣標準記録を突破できず渋い表情の北島

競泳リオデジャネイロ五輪選考会兼日本選手権第2日

(4月5日 東京辰巳国際水泳場)
 男子100メートル平泳ぎで、北島康介(33=日本コカ・コーラ)は派遣標準記録に0秒30及ばない59秒93の2位で、同種目の五輪切符獲得に失敗した。5大会連続となる五輪出場権獲得は7日から予選が始まる200メートル平泳ぎに持ち越しとなった。

 タイムが表情されるまでの一瞬の静寂のあと、館内はため息に包まれた。北島は小関に次ぐ2番手に滑り込んだものの、派遣標準記録に0秒30届かなかった。高校3年生だった16年前の初挑戦から5度目となる五輪選考会で初めての失敗。「言葉にならないですね」。視線は宙をさまよった。

 前半で「積極性を欠いた」。20メートルすぎからピッチが落ちた。50メートルのストローク数は派遣標準記録をクリアする59秒62で泳いだ前日の準決勝より1つ少ない16回。ラップタイムも0秒22遅い28秒17で3番手。後半もスピードに乗り切れず、準決勝から0秒31落としてしまった。「らしくない泳ぎ。悔しさが残るレース展開になってしまった」。攻めの泳ぎで世界の頂点に君臨した男が守りに入って自滅した。

 ライバルの存在よりも、派遣標準記録が大きな壁になった。04年アテネ五輪前から導入された同記録は当時から1秒91も速くなっている。12年ロンドン五輪後、今回のタイムを切ったのは前日の準決勝だけ。「ちょっと余計なこと考えたよね。これまでで一番高い記録で泳がないといけないプレッシャーがあった」と迷いが入り込む隙をつくってしまった。

 「これが最後の勝負」と覚悟を決めて臨んだ選考会。100メートルで1位だったらメドレーリレーメンバーで拾われることもあったが、2位ではその可能性もない。200メートルが本当のラストチャンスだ。「ここにきて本当に200メートルもやってきてよかったと、心の底から思う。自信をつけて乗り込んできたつもり」。昨年までスタミナ面に不安のある200メートルを避けてきたが、今回は2種目ともに練習してきた。「必ず派遣を切って、2番までに入るということ。頑張ります」。崖っ縁に立たされたキングはそう言って、気持ちを奮い立たせた。

 ▽男子100メートル平泳ぎ (1)小関也朱篤(ミキハウス)59秒66(2)北島康介(日本コカ・コーラ) 59秒93(3)立石諒(ミキハウス) 

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