白井、進化の2位 V9内村もビックリ「開いた口塞がらない」

[ 2016年4月4日 05:30 ]

表彰台で内村(中央)、加藤(右)と並び笑顔を見せる白井

体操全日本選手権個人総合最終日

(4月3日 東京・国立代々木競技場)
 ひねり王子がオールラウンダーとして結果を残した。リオデジャネイロ五輪の日本代表第2次選考会を兼ねて行われ、白井健三(19=日体大)が89・700点をマークして、同大会自己最高の2位に食い込んだ。床運動と跳馬のスペシャリストの大躍進に、前人未到の9連覇を果たした内村航平(27=コナミスポーツク)も驚いたほど。5月のNHK杯で個人総合での五輪出場権獲得を射程圏に捉えた。女子は村上茉愛(まい、19=日体大)が初優勝した。

 結果が大画面に映し出された瞬間、場内で最も驚いたのは内村だったかもしれない。優勝インタビューで「大番狂わせ」と言ったキングは会見でも「開いた口がふさがらなかった。これ、床の結果じゃないよな?というくらい驚いた」と目を丸くした。白井本人も「結果にはビックリした」という2位。しかし理想の姿に近づき「練習通りの内容を出せたことが自信になる」とうなずいた。

 予選で落下したあん馬からのスタートだったが「ここで流れが決まる」と落ち着いて演技。14・150点とまずまずの得点を刻むと流れに乗った。同じく苦手のつり輪も14点台を死守。続く跳馬で全体トップタイの15・500点を記録すると、最後の床はG難度のリ・ジョンソン(後方かかえ込み2回宙返り3回ひねり)など技の難度を示すDスコア7・6点の演技を完璧にこなし一人異次元を行く16・500点。得意の2種目で得点を稼ぎながらも、苦手の克服も着実に進んでいる。

 一昨年の16位、昨年の11位から大幅に順位を上げた主因にも、内村の存在がある。昨年4月に日体大に入学。内村が在学時に毎日あん馬を3度、試合本番のように通しで練習していたとの話が受け継がれているという。「人の3倍、他の種目の3倍やらないと試合で力を出せない」と聞いた白井も1年間、実行。加えて苦手の力技種目も、得意な他部員たちから助言や練習サポートを受け、「自分より強い選手がいなかった」高校時代から飛躍的な進化を遂げた。

 床のスペシャリストとしての五輪代表入りが有力視された白井の躍進は、加藤ら他のオールラウンダーに少なからずプレッシャーを与えた。それでも本人は「攻められる種目をもう一つつくりたい。14点台で満足という種目があるうちは、2位もたまたまだと思われる」と満足する様子はなし。飽くなき向上心と成長曲線で五輪切符を射止める。

 ▽体操の五輪代表選考 代表は男女とも5人。男子は内村が昨秋の世界選手権個人総合優勝で選考基準を満たして決定。全日本選手権の決勝得点を持ち点に争う5月のNHK杯で内村を除く最上位者を選ぶ。残り3人は6月の全日本種目別選手権を含む3大会の成績から、五輪の団体総合でチームに貢献できる3人を選出。ただし、一人はNHK杯5位以内、もう一人は12位以内とする。女子はNHK杯上位3人と、団体で貢献度の高い4人の計7人を代表候補とし、試技会や合宿を経て7月に最終決定する。

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