真央「満足」今季自己最高200・30点で7位 来季も現役続行へ

[ 2016年4月4日 05:30 ]

演技を終え、複雑な表情でしばらく立ち上がれない浅田

フィギュアスケート世界選手権最終日

(4月2日 米ボストン)
 2季ぶりに出場した浅田真央(25=中京大)は、女子フリーで134・43点、合計で200・30点の今季自己ベストをマークし、ショートプログラム(SP)9位から7位に浮上した。昨年末の全日本選手権時には引退も考えたが、来季も現役を続行する意欲を示した。宮原知子(18=関大)は210・61点で5位、本郷理華(19=邦和スポーツランド)は199・15点で8位。223・86点をマークしたエフゲニア・メドベージェワ(16=ロシア)が初出場で初優勝を飾った。

 苦しい時、ある思いが頭をよぎったこともある。「復帰しない方が良かったかな」。浮き沈みの激しい復帰シーズンを締め、大観衆のスタンディングオベーションを受けた浅田は、心から思った。「復帰していなかったら後悔している。たくさんの方に応援してもらえて、凄くうれしい」。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の回転不足など完璧な演技ではなかったが、笑みを浮かべて何度もうなずいた。

 「大目に見て、自分が満足する演技ができた。今季が終わったなとホッとしています」

 1シーズンの休養から復帰した今季。GP初戦の中国杯でいきなり優勝したが、試合を重ねるごとにパフォーマンスが低下。「うまくいかないことの方が多くて」。GPファイナルでは最下位に沈み、「自分たちの時代は終わったのかな」とさえ思った。全日本選手権のSPは、まさかの5位。姉の舞(27)に電話をかけた。「最後になるかもしれないから、来てほしい」。現役引退を覚悟していた。

 今大会も会場には姉の姿があった。国際試合の応援に駆けつけるのは10年バンクーバー五輪以来。「全日本の後に、一緒に戦ってほしいと真央に言われた」と舞。9位だったSP(3月31日)の演技は見られなかったが、その夜、2人は同じ部屋で過ごした。百戦錬磨の経験と姉妹水入らずの時間で気持ちは切り替わり、全力で「蝶々夫人」を舞った。

 得点や順位は重要だが、それ以上に「自分の目指している滑りを、たくさんの方に見てもらいたいという思いも芽生えてきている」と言う。今季自己ベストの200・30点をマークした一方で、9度目の世界選手権で自己ワーストの7位。「SPが良くなかったので、得点や順位よりも自分の演技をしたい思いが強かった」と振り返った。

 引退危機を乗り越え、来季も現役を続行する。「まだまだ自分の演技を見てもらいたいか?」。そんな問いに「できるので、そういう思いはある」と答えた。「来季の目標とかは何もないけど、自分ができることを最後までやりきるのが自分の考え」。浅田にしかできない表現を追い求め、これからも勝負のリンクに立ち続ける。

 ▼佐藤信夫コーチ (浅田について)頑張りました。彼女の思い通りに滑った。最高のコンディションで臨むことはできなかったが、その中でできるだけのことはやってくれた。

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