琴奨菊「気負わず」逆転!綱獲りへ土俵際残った「心に余裕」

[ 2016年3月20日 05:30 ]

琴奨菊が突き落としで豊ノ島を下す

大相撲春場所7日目

(3月19日 エディオンアリーナ大阪)
 綱獲りを目指す大関・琴奨菊は関脇・豊ノ島に土俵際まで追い詰められたが、逆転の突き落としで1敗を死守した。初場所で唯一の黒星を喫した20年来のライバルにリベンジを果たし、和製横綱誕生へ望みをつないだ。大関・稀勢の里、平幕・勢はともに無傷の7連勝とした。
【7日目取組結果】

 負ければ綱獲りが遠のく土壇場で、琴奨菊が執念を見せた。立ち合いは巧者の豊ノ島にもろ差しを許す最悪の形。左巻き替えを狙えば、そのタイミングで一気に土俵際へ追い込まれた。俵にかかった左足一本で粘る大ピンチ。完敗の流れでも、諦めなかった。右小手投げで崩し、反動をつけてから左の突き落とし。相手を豪快に裏返しての逆転勝ちだ。

 満員の場内から大喝采を浴び、引き揚げた支度部屋では笑いが止まらない。「立ち合いはダメだし、途中でバタバタして不細工な相撲だったけど。心に余裕があった。相手もうまいから(心の中も)バタバタしていたら負けてた」。頬は緩みっぱなしだった。

 テーマは「気負わないこと」。前回対戦の初場所13日目は、豊ノ島に同場所唯一の黒星を喫した。立ち合いから一気に押し込みながら逆転負け。小学生時代からのライバルと優勝を争う状況に「気持ちが入り過ぎた」のが敗因だ。「(今場所初黒星の)隠岐の海戦もそうだけど“勝ちたい”と思った時に負ける。楽しみながら、気負わずにいきたい」。テーマの着実な実行が逆転につながった。

 八角理事長(元横綱・北勝海)は「自分の流れではない相撲も勝っていくのが大事だ。こういう(逆転の)相撲、いい相撲が重なれば優勝が見えてくる」と絶賛。ピンチを切り抜けたことで上げ潮に乗ると見立てた。

 本人も「いい相撲でも負けたら意味がない。こんな相撲だけど、勝ったから、あすはもっといい相撲が取れる」と意気上がる。5日目の隠岐の海戦で右肘を痛めるなど不安材料はあるものの、気力は間違いなく充実している。 

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