奨菊 綱獲り白星発進 得意のがぶり攻めた「満足」高安圧倒

[ 2016年3月14日 05:30 ]

高安(右)をよりきりで破る琴奨菊

大相撲春場所初日

(3月13日 エディオンアリーナ大阪)
 綱獲りがかかる大関・琴奨菊(32=佐渡ケ嶽部屋)が快勝発進だ。独特の緊張感が漂う初日でも平常心を保ち、平幕の高安(26=田子ノ浦部屋)を圧倒した。最高位を射止めるには初場所に続く優勝が条件。気持ちを引き締めながら、2日目は関脇・嘉風(33=尾車部屋)と対戦する。白鵬(31=宮城野部屋)、鶴竜(30=井筒部屋)の2横綱が敗れ、初日から“荒れる春場所”となった。
【取組結果】

 大喝采を浴びて支度部屋へ引き揚げた琴奨菊は満面の笑み。「満足しています。(初日独特の緊張感も)しっかり想定して、やるべきことをやれた。体も心も充実しています。先場所の方が緊張していた」。日本出身力士として10年ぶりの優勝を飾った初場所以上の手応えをつかんでいる。

 高安には過去10勝3敗と優勢ながら初場所2桁勝利と復調した骨のある相手だった。すっかりおなじみとなった取組前のルーティン“琴バウアー”で場内を沸かせながら自らにスイッチオン。「しっかり踏み込んでいこうと思った」。狙い通り立ち合いすぐに左四つ、右で抱える得意の形に持ち込んだ。体を密着させて何度も何度もがぶり、反撃のいとまを与えずに寄せ切った。

 八角理事長(元横綱・北勝海)は「攻め続けたのがよかった。調子がよくない時は2~3回で足が止まっていた。自分の相撲を取りきって、上々のスタートだ」と手放しで褒めた。

 初日は大きな分岐点だった。00年以降に横綱昇進した朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜の4人は綱獲りに成功した場所で、いずれも初日白星。白鵬でさえ初日黒星だった06年名古屋場所、秋場所では綱獲りに失敗した。琴奨菊はまず第一関門を突破したと言える。

 初場所優勝から7週間で完全オフはわずか1日だけ。それでもテレビやイベントへの出演をこなしながらケトルベル(やかん形ウエート)を使った体幹トレにも励み、スクワットでは自己ベストを更新して240キロを記録するなど連続優勝を狙える体をつくった。師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)も「肩周りが大きくなったし、胸板も厚い。お尻も大きくなった」と太鼓判を押す。

 自身とは対照的に優勝争いでライバルとなる横綱の白鵬、鶴竜にいきなり土がついた。“荒れる春場所”を初日から目の当たりにし支度部屋のモニターを食い入るように見つめた。「後悔しないように一日一番という意識でいきたい。いい相撲で攻めて勝ったから、いい流れが来ると思う」。勢いに乗って、3代目若乃花以来18年ぶりの和製横綱誕生へ突っ走る。

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2016年3月14日のニュース