福士、事実上の“リオ内定” 陸連折れた「名古屋出ないで」

[ 2016年2月22日 05:30 ]

大阪国際女子マラソンで優勝した福士加代子

 大阪国際女子マラソンで優勝しリオデジャネイロ五輪代表を決定的とした福士加代子(33=ワコール)が、五輪代表最終選考会となる名古屋ウィメンズ(3月13日)へ参加を表明している問題について、日本陸連の麻場一徳強化委員長(55)は出場を控えるよう福士サイドに説得する意向であることを明かした。21日に神戸市内で行われた日本選手権20キロ競歩の会場で明言した。五輪への調整を考えてのもので、事実上、リオへの“約束手形”を渡す形となった。

 騒動への言及を避けてきた日本陸連が福士問題について初めて見解を示した。日本選手権20キロ競歩のレース後、麻場強化委員長が「名古屋に出ることは避けてもらいたい。そのために我々ができることがあればやりたいと思っている」と、出場を取りやめるように働きかける意向を明かした。1月31日の大阪国際女子マラソンに好タイムで優勝しながら五輪代表を確実と明言しない日本陸連の態度に福士サイドは不安を覚え、3月の名古屋への出場を示唆。日本陸連がその強硬姿勢に折れた形だ。

 麻場強化委員長は五輪までの調整を考えた上だと強調した。約1カ月半の短期間で2度のマラソンに出ることは望ましくなく、「我々の要求水準(派遣設定記録)を満たしたということはメダルが狙える水準を満たしているということ。盤石のプロセスを踏んでほしい」と説明した。福士が所属するワコールの永山監督との会談を希望し、そこで日本歴代7位の2時間22分17秒で優勝した大阪国際の走りを、あらためて評価するもようだ。

 正式には名古屋ウィメンズのレース終了を待たなければいけないため、福士サイドに「内定」を伝えることはなく、あくまで事情説明に終始するという。しかし、福士の出走取り消し要請は事実上、五輪代表として認めたことになり、名古屋に出場する選手に与える影響は少なくない。名古屋の日本人2位が仮に福士のタイムを上回った場合は議論の余地があるとしてきたが、それもなくなる。

 リオの枠は3で、昨夏世界選手権7位の伊藤舞が既に内定している。残り2枠をめぐっての場外戦。日本陸連が介入することによって、福士が名古屋出場を取りやめるにせよ、走るにせよ、代表選考はさらなる混乱を招く可能性もある。

 ▼ワコール永山忠幸監督 何も申すことはない。こちらの方向性が変わった時にはまず大会事務局に言う。

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2016年2月22日のニュース