敏京、米ツアー初優勝!世界1位コとの“一騎打ち”制した

[ 2016年2月22日 05:30 ]

優勝カップにキスをする野村敏京

米女子ツアー ISPSハンダ女子オーストラリア・オープン最終日

(2月21日 オーストラリア・アデレード グランジGC=6600ヤード、パー72)
 米ツアーに本格参戦して3年目の野村敏京(23=フリー)が悲願のツアー初優勝を達成した。首位から出て8バーディー、1ボギーの65と伸ばし、通算16アンダーの272で世界ランキング1位のリディア・コ(18=ニュージーランド)との優勝争いを制した。日本勢の米ツアー優勝は12年の宮里藍、宮里美香以来4年ぶり、ツアーメンバーとしての優勝は9人目となる。71の宮里美香(26=NTTぷらら)は通算イーブンパーの42位、72の永井花奈(18=フリー)は通算1オーバーで47位だった。

 最終18番。ウイニングパットを沈めた野村はギャラリーの声援に大きく手を振って応えた。次の瞬間、グリーンそばで待機していた世界ランク1位のコらが一斉に駆け寄り、手荒いウオーターシャワーで祝福。「とても光栄。こんなに早く優勝するとは思わなかった。この優勝には凄く大きな意味があると思う」と喜びをかみしめた。

 世界最強と野村の一騎打ちだった。1つ前を回るコがスコアを伸ばす度に大きな歓声が起こったが、「もっと頑張ろうという気持ちになった」と逆に力に変えた。5、6番の連続バーディーでコを捉えると、「パットが信じられないくらいによかった」と9番で20メートルのバーディーパットをねじ込んで単独首位に立った。コが13番でスコアを伸ばし一時的に並ばれても、すぐ、その13番でバーディーを奪い再び突き放した。圧巻は終盤。15番で10メートルを沈めたのを皮切りに17番までの3連続バーディーを奪って決着をつけた。最終18番に唯一のボギーも動じることはない。樋口久子が74年の第1回大会を制して以来42年ぶりに日本人として覇者に名を連ねた。

 昨季はトップ10が一度もなく賞金ランクは66位。オフはレベルアップを目指し、これまであまりこだわっていなかったクラブの調整にも時間を割いた。「全然合っていなかった」というヘッドやシャフトを変更。約250ヤードだった1Wの平均飛距離は20ヤード近く伸び、パーオン率も向上するなど安定感が大きく増した。パッティングもルーティンを変えた。シンプルに打つことを心掛け、直前の素振りもやめてリズム良くストロークしたのが奏功した。

 優勝会見では「コと同じレベルにあると思うか」と質問され、「正直に言った方がいいですか?やっぱり私は負けず嫌いなので、私の方がもっと上かなと思っています(笑い)」と冗談めかしながらも負けん気を発揮した。日本人の父と韓国人の母を持ち、ソウルの高校を卒業。日本国籍を選択し、「骨をうずめる覚悟」で14年から米ツアーに本格参戦した。今季は開幕戦で第2ラウンドまで首位、2戦目も途中2位につけながら最後に失速。三度目の正直で殻を破った23歳は今後の飛躍を予感させた。

 ▼日本女子プロゴルフ協会小林浩美会長 今回の勝ち方は、これまで米国ツアーでもまれた中で、身につけた勝ち方だと思います。さらに強くなった野村さんが目に浮かびます。これまでの苦労が報われ、大きな自信になったことと思います。日本の大会でもまたその勇姿を見せてください。

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