琴奨菊 綱獲りへ幕下の取り口も研究 宇良の立ち合いを評価

[ 2016年2月11日 05:30 ]

丸い石を持ってすり足をする琴奨菊

 大相撲初場所で日本出身として10年ぶりの優勝を飾った大関・琴奨菊(32)が“異能派幕下力士”の相撲に関心を寄せた。千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で行った10日の朝稽古後、西幕下9枚目・宇良(うら、23=木瀬部屋)の取り口を称賛。学生時代は居反りなどアクロバチックな相撲を武器とした117キロの小兵ホープの心構えを参考にしつつ、春場所(3月13日初日、エディオンアリーナ大阪)で綱獲りに挑む。

 初の綱獲りに挑む春場所に向け、ダンベルなどを使った基礎運動でたっぷりと汗をかいた朝稽古後。琴奨菊から意外な力士の名前が飛び出した。「宇良がなんで強いか分かる?攻めてないようで攻めているから強い。すぐ(関取に)上がってくると思う」。大関が突然口にした「宇良」とは、まだ十両にも昇進していない23歳の幕下力士。昨年春場所に関学大出身として初めてデビューし、ここまで32勝3敗と破竹の勢いで番付を駆け上がっている117キロの若手だ。初場所は6勝1敗で幕下優勝決定戦に進出。惜しくも優勝はできなかったが、卓越した相撲センスで館内を沸かせた。

 天下の大関が幕下力士について言及すること自体が異例だが、琴奨菊にとってはそれも綱獲りへの参考材料だ。「攻めてないようで攻めている」とは立ち合いからの流れについて。たとえ踏み込まなくても「下がりながら軸を崩すというのかな。宇良は絶対にまわしに手が引っ掛かってから前に出てる」と解説。「自分は踏み込むタイプの力士だけどね」と取り口が違うことは承知の上だが「自分も(初場所7日目の)碧山戦ではたいて崩した」と宇良との共通点を見いだした。200キロを超える巨漢の圧力を止めるために立ち合いでややはたいて軸を崩した直後に左差し。自らの形で寄りたてると最後は突き落としで横転させた。

 幕下にまで手を伸ばして相撲を研究するようになった理由は「勝つための確率を上げるため。野球の打率で言ったら(自分は)怖いバッターですよ」と笑う。勝つために何をするのかをしっかり準備した上で負けない相撲を取る。その“謙虚な研究”を生かして得意の馬力相撲を発揮できれば、32歳での横綱昇進も夢ではない。

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2016年2月11日のニュース