リオ切符に挑む水球女子 敗戦より悔しい“羽田の屈辱”胸に…

[ 2016年2月6日 11:43 ]

リオ五輪出場を目指す水球女子日本代表はボールを手に笑顔

 水球の男子日本代表が昨年12月に中国で行われたリオデジャネイロ五輪アジア予選を制し、32年ぶりの五輪出場を決めた。凱旋帰国した羽田空港にはテレビカメラ10台が待ち構え、姿を見せた「ポセイドン・ジャパン」は無数のフラッシュに包まれた。ただ、胸を張る男子選手とは裏腹に、列の後方で背中を丸めてすごすご歩く女子選手の姿は忘れられない。

 先月4日。日本水連は遠征費約500万円を投じて女子代表を世界最終予選(3月、オランダ)に派遣することを決めた。一度閉ざされた扉は、東京五輪開催によって再び開かれた。曲山主将は羽田空港での一幕を思い浮かべ「一番屈辱的だった。自分たちも笑って帰ってきたかった。あの時の悔しさを味わったからこそ…」と前を向いた。

 「水中の格闘技」と言われる競技だけに、水中での殴る蹴るは日常茶飯事。女子だろうと、引っかき傷やみみず腫れが体中に残る。今月5日に行われた公開練習で、曲山は水着をめくり左肩に残る長さ5センチの傷痕を見せてくれた。仕事を持たず、水球に打ち込む主将は「傷だらけなんですけど、勝ったらそんなの飛んでいっちゃう」と白い歯を見せた。 

 「水連のお荷物」とまで言われた競技だが、チームはかつてないほど高いモチベーションで練習に取り組んでいる。額に大粒の汗を浮かべた加藤監督の怒声が室内プールに響き渡ると、プレーは止まり説教タイム。千葉・秀明大での合宿中はプール施設につくられた一室で布団を敷いてチームで雑魚寝をする。勝負の時まで残り1カ月半。中国での敗戦以上に心に深く刻み込まれた「屈辱」を勝利の笑顔で吹き飛ばしてほしい。(宗野 周介)

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2016年2月6日のニュース