終盤崩れなかった福士 失敗重ねて精神的に成長…有森裕子の目

[ 2016年2月1日 11:20 ]

2時間22分17秒のタイムのy位おこで笑顔を見せるた福士

 福士さんの走りはどこにも「ひっかかり」がないのが最大の特長です。上半身に余計な力が入らず股関節の動きもスムーズで、上半身と下半身の切れ目がない。全身のパーツが一つになって動くので無駄が全くなく、終盤になっても大きな落ち込みはありませんでした。

 以前は終盤に必ず崩れましたがそれは多分に精神的な面が影響していたのでしょう。もともとトラック出身の彼女は体重を増やすことを嫌がり、マラソンに転向しても食事の量が極端に少なかった。トラックで走るには軽い方がいいのですが、長丁場のマラソンはある程度の重さがないと最後まで走れない。失敗を重ねる中で精神的にも成長し、今回は周囲の意見を取り入れてとにかくたくさん食べることに専念したことも好結果につながったのだと思います。

 まだ名古屋が残っていますが、もし彼女が代表に選ばれれば、順位とタイムを同時に追わなければならない選考レースのプレッシャーから解放されるリオの方が恐らく走りやすいはずです。まず体のケアをしっかりすること。心身ともに万全の状態で臨めれば上位に食い込むチャンスは十分あるでしょう。 (92年バルセロナ五輪銀、96年アトランタ五輪銅メダリスト)

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2016年2月1日のニュース