福士 独走V!2位に6分大差 派遣タイム突破「リオ決定だべ」

[ 2016年2月1日 05:30 ]

優勝した福士はタイムを確認し、ガッツポーズ

大阪国際女子マラソン

(1月31日 ヤンマースタジアム長居発着)
 13年モスクワ世界選手権銅メダルの福士加代子(33=ワコール)が日本歴代7位の2時間22分17秒で優勝した。2位に約6分差の圧勝で、これまでの自己ベスト(2時間24分21秒)を2分以上縮めた。日本陸上競技連盟が設定した8月のリオデジャネイロ五輪派遣記録の2時間22分30秒を切り代表の座を確実とした。トラックでは過去3度の五輪出場があるもののマラソンは初となる。08年と12年の五輪選考レースは失敗。過去の反省から食べて食べてガス欠を防いでブラジル切符をいただいた。

 トラックの女王がやっとマラソンのヒロインになった。お立ち台の福士は子供のようにはしゃいだ。「やったー、1等、やっと獲ったー。リオ決定だべ。よろしくお願いします」。レース後のコメントがいつも話題になるが、この日は底抜けに明るかった。13年の優勝はドーピング違反をしたガメラの記録が昨年12月に取り消されて2位から繰り上がったもの。42・195キロでの勝利の味は今回が初だった。

 日本陸連が定めた2時間22分30秒の派遣記録を超すべく、ペースメーカーが5キロ16分40秒設定の高速の展開をつくった。15キロ過ぎで重友が脱落。24キロを境に、先頭集団に残っていた竹中とチェピエゴの脚色が大きく鈍った。ライバルがいなくなった時、同じように福士ももがいていた。

 「25キロ以降に両足の裏が痛くなって。30キロからはどんどん痛くなった。いいやもう、折れてしまえと思いながら走った」

 昨年は3度も足の甲を疲労骨折した。つまずきの連続に加え、年齢は33歳。今回が五輪のラストチャンスという思いがあった。レース中は「もうこれで最後」と言い聞かせた。30キロでペースメーカーが離れた後も崩れない。派遣設定記録をクリアする2時間22分17秒でテープを切った。

 大阪国際は過去3度走り、そのうち2回が五輪選考レースだった。ただしいずれも惨敗。ワコールの永山忠幸監督は12年を特に悔いていた。レース1週間前から食事が喉を通らず、スタミナ切れを起こした試合だった。

 「一番いい練習をしたのに負けた。福士の強化は食べることしかない」

 今季のマラソン練習期間中は、1食の米の量をこれまでの3倍にした。おおよそ1・5合。苦しみながら一日3食取ることでスタミナ切れを防ぎ、3000メートル、5000メートルの日本記録を持つ天性のスピードが開花した。この日の朝もどんぶりで食べた。優勝者は「こんなにおなかいっぱいでいいのかな」と笑った。

 3月の名古屋ウィメンズの結果を待たなければいけないが、日本歴代7位の好タイムでリオ行きはほぼ確実。「私が一番うれしい。よくやった。レースはきつかったが、気分は最高。金メダルを獲りたい」。次は五輪で1等賞だ。

 ◆福士 加代子(ふくし・かよこ)1982年(昭57)3月25日、青森県出身。五所川原工からワコールに入り、力を付ける。04年アテネから3大会連続でトラック種目で五輪に出場。1万メートルは北京が11位、ロンドンが10位。3000メートル、5000メートル、ハーフマラソンで日本記録を保持。13年モスクワ世界選手権はマラソンで銅メダルを獲得。今回が8度目のマラソンだった。1メートル60、47キロ。

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