宮本勝昌がしみじみ語る「バーディーは人を幸せにする」その真意とは

[ 2016年1月28日 22:57 ]

宮本勝昌

 「バーディーは人を幸せにするんですよ」。言葉の主は男子ゴルフの宮本勝昌(43=ハートンホテル)。今年でプロ20年目を迎えるベテランがしみじみと言った。

 「バーディーを取ったり、優勝したりすると周りの人が喜んでくれる。それが一番うれしい。バーディーは周りの人を幸せにするんだなと思う。だから頑張れるんです」

 98年つるやオープンを皮切りにツアー通算10勝しているが、そういう思いが強くなったのはここ数年だ。ツアー9勝目を挙げた14年ANAオープン最終日の出来事が1つのきっかけになった。

 67で回った宮本は通算18アンダーで谷原秀人と並んだ。18番で行われたプレーオフ1ホール目。宮本は7メートルのバーディーパットを沈めて4年ぶりの優勝を決めた。その瞬間の光景が忘れられない。

 「長いパットが入った時、藤田さんが冗談じゃなく本当に飛び上がって喜んでくれた。同じプロだから本当は悔しい部分があってもおかしくない。それなのに本人より喜んでいた。ハグしてきて、もう少しでキスしそうだったくらい」。宮本は思い出しながら笑った。

 宮本と藤田寛之はともに芹沢信雄に師事する兄弟弟子。同門のプロがグリーン脇で優勝者を祝福することは珍しくないが、先輩プロの“キス寸前”の興奮ぶりにはさすがに驚いた。しかも藤田は首位に2打差で最終ラウンドに臨みながら5打差の8位に終わっている。悔しい思いがあっても不思議はない。だからこそ宮本は、優勝が周りの人を喜ばせるものだということを痛いほど感じたのだ。

 昨季は優勝がなかった。今季に懸ける思いは当然強くなる。「いつもより開幕が早いので、オフも気持ちを切ることがなかった。正月は家族でのんびりしたけど、7日には初打ちで(ゴルフ場を)回った。重い物を上げるトレーニングもやってきた。目標は優勝して日本シリーズに出て勝つこと」と言い切った。

 生涯獲得賞金10億円の大台も視野に入っている。ただ数字そのものよりも周りの人にどれだけ多くの幸せを与えられるか。それが宮本の喜びの尺度になる。笑顔が似合うおじさんゴルファー。味のある言葉をまた聞きたい。(福永 稔彦)

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2016年1月28日のニュース