河井、ネットで活動資金調達「企画を成功させてモデルケースに」

[ 2016年1月28日 05:30 ]

今季開幕戦に向けて練習ラウンドを行う河井

28日開幕 SMBCシンガポール・オープン

 男子ゴルフの国内ツアー開幕戦SMBCシンガポール・オープンはアジアンツアーと共同で28日から4日間、シンガポールのセントーサGCで開催される。12月の日本シリーズJTカップまで長い戦いが始まる中、ベテラン河井博大(44=フリー)は特別な決意で臨む。11年日本プロ選手権優勝で獲得した複数年シードが終了するシーズン。インターネットを利用した資金調達システム「クラウドファンディング」で活動資金を集めてプレーに集中し、シード獲得とツアー通算2勝目を狙う。

 気温30度以上、蒸すような暑さの中、河井は調整を続けた。24日にシンガポール入り。練習ラウンドを重ねて熱帯の気候にようやく慣れてきた。

 インターネットを使って資金調達する新たな試みに取り組む。ツアーにフル参戦すれば年間1000万円以上の経費がかかると言われ、河井はこれまでテーラーメイドとの用具契約の契約料と獲得賞金で賄ってきた。昨季は獲得賞金1010万5622円でランク76位。クラウドファンディング実施を決断したのは、よりゴルフに集中できる環境をつくりたいからだ。11年にメジャー日本プロ選手権でツアー初優勝し5年間のシードを獲得したがその権利は今季で終了する。賞金を稼いでシードを確保しなければならない事情がある。

 「ゴルフに集中できる。マネジメント事務所から話を聞いてやってみようと思った。男子プロゴルファーでは初めてだと思う。企画を成功させて他の選手のモデルケースになれれば」と河井は多くのプロゴルファーの環境改善の一助になりたいとの思いも口にした。

 募集期間は今月12日~3月30日で目標額は200万円。支援した全員に河井からお礼の手紙と活動報告メールが届く。1口3000円から同100万円まで金額別のコースが設定され、サイン入りのボール、ウエア、クラブなど金額に応じてリターンがある。高額コースは河井との懇親会やコンペへの招待、ウエアやキャディーバッグへの広告掲出の権利が得られる。27日までに24万円以上が集まった。

 「支援してくれる方がいることでモチベーションも上がる。恩返しするためにもシードを獲りたい。優勝して中年の星になれればいい」と河井。年明けの8~16日は千葉県内にある尾崎将司の自宅に泊まり込んでトレーニング。その後は地元・愛知県で打ち込んできた。サポーターの思いも背負ってティーオフする。

 ◆河井 博大(かわい・ひろお)1971年(昭46)11月13日、広島県出身の44歳。中学3年でゴルフを始める。瀬戸内高、日大を経て96年プロテスト合格。師匠は高校の先輩・田中秀道。ツアー通算1勝。生涯獲得賞金2億2281万9465円。1メートル81、70キロ。

 ▽クラウドファンディング 不特定多数の人がインターネット経由で他の人や組織に財源の協力などを行うこと。群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語。ソーシャルファンディングとも呼ばれる。プロゴルファーでは昨年、米女子下部ツアーに挑戦した森田遥が目標額500万円で実施し、773万5000円を集めた。河井のクラウドファンディングの詳細は下記サイトで紹介されている。

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