【村上武資の目】戦術、実行、精度の三拍子そろった錦織

[ 2016年1月25日 09:30 ]

ツォンガを下し、2年連続8強入りを決めた錦織(AP)
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テニス全豪オープン第7日・男子シングルス4回戦 錦織 6―4、6―2、6―4 ツォンガ

(1月24日 オーストラリア・メルボルンパーク)
 相手のいいところを全く出させない“完封勝ち”だった。ツォンガにはサーブとフォアハンドで簡単に取れるポイントがある。その分、錦織の側に徐々にプレッシャーがかかるのではないかと予想していた。練習を見ていても、ツォンガの動きは軽快で当たりも良かった。

 ところが錦織は戦術、実行、精度の三拍子がそろった完璧な組み立てを見せた。初戦のコールシュライバー戦のように、もっと左右に振ることもできたはずだが、相手のパワーと一発のカウンターを警戒して、動かすよりも回り込みのフォアを封じることを選択した。バックのラリーの角度と深さは誰でもできる芸当ではない。やることが明確で集中もできていた。

 この試合は今年を占う意味でも大一番だと思っていた。ここでトップ10のツォンガに完勝し、状態の良さを知らしめた。ビッグ4以外で4大大会を制する可能性が最も高い選手だと再認識させたのではないだろうか。ジョコビッチ戦は厳しい戦いとなるはず。攻めるべきか、我慢するべきか。その状況判断を研ぎ澄ませないとその壁は崩せない。(ロンドン五輪日本代表監督)

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