八百長問題で揺れる中…ある選手のフェアプレー精神に大きな拍手

[ 2016年1月22日 15:54 ]

試合後、ゴファン(右)と健闘を称え合うティエム(AP)

 八百長問題に揺れるテニス界にあって、男子テニスのホープが正々堂々としたスポーツマンシップを見せた。22日の全豪オープン男子シングルス3回戦で、世界ランキング20位で今後の飛躍が期待されるドミニク・ティエム(22=オーストリア)が、同16位のダビド・ゴファン(25=ベルギー)と対戦した。

 第1セットを落として迎えた第2セットの第5ゲーム。15―15で迎えた自らのサービスゲームで、相手リターンがベースライン付近の微妙な位置に落ちた。これを打つか打たないかのタイミングで線審から「アウト」のコール。これに対してゴファンはビデオ判定を要求し、結果は「イン」に覆った。

 審判のコールでプレーが妨害された場合は、プレーのやり直しとなる。ティエムの打球はサイドラインを割っていたが、主審も、ゴファンもコールが影響したものとみなし、プレーをやり直すつもりだった。

 ところが、ここでティエム自身が「ボールを打ったのはコールの後だった」と主審に申告。自らの不利もかえりみず相手にポイントを譲って15―30となった。このフェアプレー精神には観客からも大きな拍手が送られた。

 結局このゲームをブレークされたティエムだが、第2セットを取り返してセットオールに持ち込んだ。それでも1―6、6―3、6―7、5―7の惜敗で、4大大会自己最高タイとなる4回戦進出を逃した。

 ツイッターなどでは、「次世代にはこういう選手こそ必要だ」「彼のファンになった」と称賛する声が上がる一方で、「これが八百長でないことを願う」などと八百長問題に絡めて茶化す声も一部に見られた。

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2016年1月22日のニュース