白鵬 “奇策”で全勝キープ「猫だまし」の次は「目隠し」

[ 2016年1月19日 05:30 ]

白鵬が栃煌山に“目隠し”

大相撲初場所9日目

(1月18日 両国国技館)
 「猫だまし」の次は「目隠し」だった。横綱・白鵬が関脇・栃煌山を上手出し投げで下し、大関・琴奨菊とともに全勝をキープ。立ち合いでは相手の顔面目掛けて右手を開く“奇策”を繰り出した後、左に動いて上手出し投げで勝負を決めた。館内からはブーイングが出たものの、横綱は栃煌山に対して、力任せではいけないとのメッセージであることを主張した。
【9日目取組結果】

 ブーイングが鳴り響く。「ちゃんと相撲を取れ!」「モンゴルに帰れ」などと罵声も飛んだ。白鵬が栃煌山戦で出した2場所連続の奇策に館内は騒然となった。注目の立ち合い。右の手のひらを開いて相手の額に触れた。そして次の瞬間、左に動くと前のめりの栃煌山はゴロリ。最後わずかにまわしに触ったため、決まり手は「上手出し投げ」となったが、既に勝負は決していた。先場所物議を醸した猫だましに続き、目隠しのような立ち合いから相手をかわして9連勝。「手を出した瞬間、勝負あった。変化じゃない。手で支えてる。その後ですから」と主張した一方で、館内の厳しい反応には「申し訳ありません」と謝罪した。

 なぜ、優勝35度の横綱が格下の関脇に奇策を繰り出すのか。白鵬は「頭を使わないと。力比べじゃないんだから」と栃煌山の相撲に問題があることを力説した。この日朝には三役常連の28歳に対し「力はあるが、もろいところがある。どうしても彼の直らないところ」と熱弁。そして「勝ち越したからまた楽しみますよ」と冗談めかしてこの日の相撲を予言するような発言も。取組後、藤島審判長(元大関・武双山)は「栃煌山に余裕がなさすぎる。自分で突っ込んで自分で転んだ」と、むしろ毎度の奇襲を食う大関候補に失望した。

 真っ向勝負を貫くあまり不器用さが目立つ栃煌山。ファンを怒らせても勝負に徹する白鵬。館内を異様な雰囲気にさせたのは、両者に責任はある。だが、挑戦者の格下に全ての力を出させた上で、圧倒的な力量でねじ伏せることが大横綱の役割のはず。それが品格につながる。猫だましについて「前代未聞」と厳しい見解を述べた3日後に急逝した北の湖前理事長(元横綱)の声はもう聞けない。

 ▽先場所の白鵬―栃煌山 史上最多優勝を誇る白鵬が栃煌山を相手に立ち合いで猫だましを繰り出した。その後、大きく左に動くと相手の振り向きざまに再び“パチン”。2度の猫だましで動揺させると右四つに組んで寄り切り、全勝を守った。白鵬は「勝ちにつながったのでうまくいったことにしましょう」と作戦成功を明言。だが、その3日後に急逝することになる北の湖理事長(元横綱)は「横綱としてやるべきことじゃない。前代未聞。負けたら横綱として笑いもの。負けたら最低です。負けたら品格に引っ掛かる」と厳しい見解を述べた。

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