ストップ・ザ・外国人力士 稀勢にチャンスあり 玉ノ井親方期待

[ 2016年1月10日 09:10 ]

06年初場所で優勝した元大関・栃東の玉ノ井親方

 大相撲初場所は10日、両国国技館で初日を迎える。日本出身力士の優勝は06年初場所の大関・栃東以来途絶えている。今場所、外国人力士が賜杯を獲得すれば、日本出身力士は丸10年優勝から遠ざかる。かつて賜杯を抱いた親方たちはこの10年をどう見てきたか、また日本勢はどう戦うべきか。最後に優勝した元大関・栃東の玉ノ井親方(39)が語る。

 玉ノ井親方もこれほどまでの日本人力士の低迷は予想していなかった。気がつけばモンゴルを中心とする外国人力士との勢力図は逆転していた。

 「本当にあっという間だった。誰も思ってもいなかったと思う。我々の時も外国人力士はいた。強いのは分かっていたけれど、隙があった」

 10年前の記憶は鮮明だ。負ければ関脇・白鵬との優勝決定戦だった千秋楽の結びの一番。相手は7場所連続で優勝していた横綱・朝青龍だった。

 「相手は右肘をケガしていて、使えないのは分かっていた。だから(相手十分の)左四つになっても、左一本では相撲が取れない。早く自分の型にして、攻めようと考えていた」

 右上手を引くと、すぐさま出し投げで朝青龍を転がし、自身3度目の優勝を飾った。宿敵朝青龍には通算10勝15敗だった。苦手意識を作らなかったことが奮闘の要因だ。

 「むしろ相手の方がやりづらいと思っていた。(横綱の)向こうは負けられない。こっちはぶつかっていくだけ。相手の気持ちを読むことも大事だ」

 この10年、日本出身力士に優勝のチャンスがなかったわけではない。大事な一番でモンゴル勢に勝てない現役力士たちがもどかしい。

 「(個々の力量に)そんなに差はない。冷静に闘うことができていない。まずは自分の相撲を取ること。相手に取らせるんじゃなく、自分から踏み込んで、相手より早く攻めないといけない」

 幕内の外国人力士の数は10年前の12人に対し、現在は15人に増えた。横綱は朝青龍だけだったが、現在は白鵬、日馬富士、鶴竜のモンゴル勢3人が占める。日本人大関は稀勢の里、豪栄道、琴奨菊と3人いるが、取り巻く環境は変わっている。

 「かなり厳しくなっている。でも、厳しいからこそ、乗り越えれば大きい。誰かが優勝すれば、続く力士が出てくるんじゃないか。(日馬富士を圧倒した昨年の)九州場所千秋楽の稀勢の里を見ると、やはりチャンスはあると思う」。

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2016年1月10日のニュース