関東学院大 4季ぶりの1部復帰の陰に教え子たちの“恩返し”

[ 2015年12月30日 09:30 ]

 ラグビーの全国大学選手権で通算6度の優勝を誇る関東学院大が来季、関東大学リーグ戦グループ1部に戻ってくる。2部降格3季目の今季は日大に次ぐ2位で、1・2部入れ替え戦へ進出。12月13日に熊谷ラグビー場で1部7位の専大に22―7と逆転勝ちし、4季ぶりの1部復帰を決めた。

 ラグビー担当として90年代初頭から関東学院大の躍進を見てきた。FWは軽量ながら早い展開でバックスを走らせ、伝統校に立ち向かう姿が痛快だった。やがて大学選手権を制し、有力高校生が次々と入部してFWが大型化。同時に、弱小校を強豪へ育て上げた名将・春口広監督(当時)のあふれる情熱が空回りする場面も目立ち始めた。

 主将がシーズン中にメンバーから外され、優秀なコーチが辞めるなど首をかしげたくなるような事象が続き、07年には部員が大麻取締法違反容疑で逮捕される不祥事を起こして監督は辞任。その後は徐々に成績を落として12年には2部降格が決まり、13年に復帰した春口監督も大学側の意向により1年で退任した。同監督の下でFWコーチを務め、付属中・高を指導していた板井良太氏が監督に就任した昨年は2部3位。「あいさつなど寮での生活もルーズだった。高校の延長のように感じていた」(板井監督)という私生活から見直したものの、入れ替え戦にすら出場できなかった。

 2年ぶりに入れ替え戦に登場してきた関東学院大は学生トップの帝京大や東海大に比べ小柄で、線の細い選手が目についた。スクラムも劣勢だったが、早い展開でリズムをつくり、後半に専大を圧倒した試合内容は躍進初期に重なった。「関東学院のスタイルは展開。今年は個々にスキルを持った選手がいたので、そこをベースに、ウイークポイントだったFWの強化を進めてきた」と板井監督。そのFW強化に一役買ったのが、トップリーグでの経験が豊富な黄金時代のOBたちだ。

 榎本淳平ヘッドコーチと入江順和バックスコーチはともに三洋電機(現パナソニック)で活躍した元日本代表。専任はこの2人だけだが、昨年まで現役だった北川喬之FWコーチ(ヤマハ発動機―三洋電機、パナソニック―三菱重工相模原)やパナソニックの堺田純コーチらが足しげくグラウンドに通い、指導にあたった。また、現役の元日本代表プロップ山村亮(ヤマハ発動機)や昨季までコカ・コーラを率いた山口智史前監督らも母校を訪れ、最新スキルを学生に注入。SH高城佑太主将(4年)は「分かりやすかった。環境としては最高だったのかなと思います」と感謝した。

 板井監督にとってはFWコーチ時代に鍛えた教え子たちからの恩返しでもあった。「我々にはこういう財産がある」。栄光までの苦難、10年連続大学選手権決勝進出から転落と浮き沈みの中で、人脈は着々と築かれた。伝統とは無縁な自由闊達(かったつ)な雰囲気が特徴で、伝統校を倒してのし上がっていった「カントー」にも、誇らしい伝統が生まれた。(中出 健太郎)

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