水球男子 リオで就活、32年ぶり五輪も無職多数…支援訴え

[ 2015年12月22日 05:30 ]

帰国会見でガッツポーズの水球男子日本代表の(前列左から)大川、保田、棚村、志水、筈井、柳瀬(後列左から)大本監督、竹井、角野、志賀、福島、飯田、荒井、足立

 32年ぶりの五輪切符をつかんだ水球の男子日本代表が21日、羽田着の航空機で中国から帰国。100人以上のファンや関係者の出迎えに笑顔を見せた。長く閉ざされた扉をこじ開けた選手たちだが、大本洋嗣監督は日本代表の多くの選手が無職の状況であることをカミングアウト。水球界の未来を占う16年リオデジャネイロ五輪でベスト8の目標を達成するためにも、詰めかけた報道陣の前で支援者の募集を訴えた。

 見たことのない光景に、ポセイドン・ジャパンのメンバーは照れ笑いを浮かべた。出発前は3台だったテレビカメラは、3倍もの数に膨れ、ロビーに出てくるなりまばゆいフラッシュに包まれた。待っていたファンや関係者ら約100人から「おめでとう」と声を掛けられると、先頭を歩く大本監督は恥ずかしそうに頭を下げた。

 敵地で中国を破り、32年ぶりの五輪出場権を獲得した反響は予想以上。報道陣40人が押し寄せた会見場で大本監督はアピールした。「これだけのカメラの奥で何万人もの人が見ているかと思うと、水球はめったに記事や映像に出ないから認知度が高まる」と期待。そして「彼らは就職をほとんどしてない。五輪終わったら仕事もない人間が多い。水球をやっている子供たちの親、今まで水球をやられた方や指導者の先生たち見てください」と訴え、「彼らの将来を含めよろしくお願いします」と頭を下げた。

 これまで日の目を見なかった競技の置かれている立場は厳しい。学生以外、チームの半数の選手がニートに近い状況だ。

 かつてフェンシングの太田雄貴は「ニート剣士」と呼ばれていたが、08年北京五輪で銀メダルを獲得してメディアの露出が増え、就職先が見つかった。今回、夢をつかんだ男たちの最大の目標は東京五輪でのメダル獲得。安定した競技環境を得るためにもリオデジャネイロ五輪は8強を目指すとともに、就職活動の機会ともなる。

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2015年12月22日のニュース