前田 男子フリー65キロ級V “苦労人”が五輪へ前進

[ 2015年12月22日 05:30 ]

激しい攻防を繰り広げる前田(手前)と藤波

レスリング全日本選手権

(12月21日 代々木第2体育館)
 開幕し、新旧の世界選手権代表7人が顔をそろえた男子フリー65キロ級は“苦労人”の前田翔吾(28=クリナップ)が制した。決勝では藤波勇飛(19=山梨学院大)を6―5で下し五輪出場枠が懸かるアジア予選出場(3月18~20日、カザフスタン)が決定。同予選で上位2人に入れば自動的に五輪代表に決まる。

 優勝が決まると前田はセコンドの湯元健一氏に抱きついた。日体大の先輩であり、ロンドン五輪代表を争って敗れた相手。「4年前の悔しさを忘れたくなかった」と今大会は特別にセコンドについてもらった。決勝では開始2分で意表を突く一本背負いを決め、一度は追いつかれたがしぶとく突き放した。

 引退した湯元氏の後釜として期待された13年世界選手権では左臀部(でんぶ)の腱を断裂。全治1年の大ケガを負った。さらに主戦場だった60キロ級が五輪実施階級から消え、階級アップも余儀なくされた。「ここまでの道のりは遠くて険しかった」。ロンドン五輪を逃した後は所属先がなく至学館大コーチとして女子を指導した時期もあった。その時の教え子である登坂絵莉や川井梨紗子がリオ五輪切符を獲得したことも「僕も負けてられない」と奮起する材料に。数々の苦境を乗り越えて五輪に大きく近づいた。

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2015年12月22日のニュース